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食品業界に対するFDAの取締りにおける 「新たな標準」:その準備と対策

2018-12-07


食品に対する取締りを取り巻く環境は変化を続けています。そのため企業では、4つの鍵となる変化の状況とその対応方法を理解しておく必要があります。

2017年に発表された食品由来疾病調査、リコールあるいはFDAによる規制措置等により、経営者や品質保証部門の役員、弁護士は、新しいガイドラインを理解するように努めています。状況や企業によって異なるものの、すべての食品企業が把握しておくべきだと考える重要な4点、ならびにFDAによる取締りにおける「新たな標準」に備えるための主要なステップについて、説明します。

1.  FSMAに係る査察は異なります。
新しい食品安全強化法(FSMA)の規制下、特にHazard Analysis and Risk-Based Preventive Controlsに関する規則に重点を置いた査察がFDAにより開始されました。FSMAに係る査察は、従来のFDA査察とは非常に異なるものになるとみられています。 FSMAは、施設に食品生産で認められる危害を管理することが可能な適所に堅牢かつ科学的根拠に基づいた、実証済みの食品安全システムがあることを義務づけています。従って、FDAによる査察では、食品安全システム全体に重点が置かれています。 FDAは引き続き、GMPの順守状況や確認可能な記録、物理的条件等を確認していきます。 しかし、多くの場合、食品安全システム全体の厳密な評価が査察の焦点となってきます。

システムベースの査察では、食品安全プログラムがどのように設定され、どのように実証されているかに関して問われるものと考えらます。危害分析は完了していますか?それは文書で十分に裏付けられていますか?予防管理が必要となる危害はすべて、製造工程での対応がなされていますか?危害が上流工程または下流工程で管理されている場合、施設が管理されていることをどのように確認していますか?手順に対し追跡と記録が実際に行われていますか?どのような是正措置を講じ、どのように記録し、その措置が効果的であったか否かはどのように結論づけられましたか?などを言い換えれば、食品安全プログラム全体の徹底的な分析が期待されているのです。

単に不純物が混和されていない製品を生産するだけでは、十分ではありません。食品安全システムそのものの不備は、FDAの「Form 483」レポートや「Warning Letter」発行の対象となります。例えば、企業で予防管理は実施されているが、適用されている管理コンポーネント(すなわち、モニタリング、是正措置や検証)に関する証拠資料がない場合、FDAは管理が適切に実行されていなかったと仮定する可能性があります。
 
結論:企業が自らの規制要求事項違反に気づく場面がかなり増加しています。

2.  FDAは、記録の閲覧を希望して(許可されて)います。
FSMAによって、FDAは、施設の食品安全計画と関連したすべての手順書、証拠資料及び記録を含む製造記録に関して、実質的なアクセスが可能となっています。例えば、環境試験が食品安全プログラムに組み込まれる場合、それはFDAが通常想定していることでもあるため、環境試験の記録はFDAの閲覧が可能なものとなります。

その結果、FDAは食品安全システムが機能していたか否かを示す検証データを含め、特定日の施設のオペレーションに対し、非常に細かく確認していきます。システムベースの査察では、FDAの目的の一つとして、食品安全システムが日々機能しているか否かを判断することが挙げられ、その上で記録はそれを実証する為に必要不可欠なものとなります。反対に、食品安全システムのすべての重要なパラメータを完全には捕えていないもの、完全あるいは読みやすく記入されていない記録、または記録の不備などは、不十分な記録として規制措置の対象となり得るものとなります。

3.  FDAは、施設からサンプルを採取し、ゲノムシークエンスに対する検査を実行します。
徹底的なサンプル採取はここ数年間のFDA査察の特徴を示すものであり、新たな規制と科学的ツールにより一層重要性が高まるとみられます。FDAは、継続して査察中に広範囲に及ぶ環境サンプル(食品接触面からのサンプルも含め)を採取し、一般的衛生条件ならびに清掃及び衛生プログラムの有効性を評価していきます。すでに、Form 483において、再発する環境試験の陽性結果が不十分な公衆衛生プログラムの根拠としてあげられているケースが存在しています。

Whole Genome Sequencing(WGS)の使用によりこの状況は加速すると予想されます。WGSは有機体の遺伝子コードを明らかにするものであり、これを用いてFDAは2つの生物が同じ株かどうか、高度な信頼レベルで判断することができます。FDAはGenomeTrakrとして知られているデータベースも構築しています(Centers for Disease Control and Prevention 及び他の衛生行政機関と協力)。GenomeTrakrは環境、製品と被験者サンプルから収集されるすべての試験結果に関する情報を含むもので、FDAに対し試験結果に関連する相当量のデータを提供するものとなります。

4.  WGSの一致は、非衛生的条件の強い根拠と考えられます—そして、特に関連する疾患がある場合には規制措置の対象となり得ます。
FDAが複数の査察においてWGSを通じて同じ遺伝的菌株を同定する場合、環境衛生管理プログラムによって根絶出来ていない「常在菌株」を施設が所有しているという見解をFDAが持つことになります。または、一回の査察で複数の菌株を同定する場合、FDAは、施設には複数回の障害が発生しており、それによって複数種の異なる微生物の侵入と定着を導いたと理論づけることがあります。

さらに、FDAで入手されるWGS検査の結果はすべて、ヒト疾患サンプルと製品サンプルから収集された菌株のデータベースに集積されます。 FDAが環境サンプルとヒト疾患関連サンプル間で一致する遺伝子が同定される場合、FDAでは疾患と施設の因果関係を強く疑い、リコールの実施や警告文書(Warning Letter)の発行の処分、またはその両方に至ります。

5.  事前準備として行うべきこと
上述の4点は食品業界で注目を集める取締りに関するリスクの「新たな標準」を生み出している変化となります。しかし、企業ではこれに備え方策を講じることが可能です。

・ 試験から得られる所見を見逃さないこと。環境(及び適当な場合、製品)試験の結果は、より大きな問題へと発展し得る重要な問題の早期警告の材料となる場合があります。ここでは、試験結果に対する堅牢な対応プログラムを構築することが非常に重要となります。これによって、特定の所見に対応し、より重篤な問題へと発展しないよう対策を講じていることをFDAに示すことができるからです。FDAは通常、施設の試験記録の提示を求め、試験結果を確認します。ですから、企業が環境で微生物を発見した場合には、それが根絶されていない限り、FDAもそれを発見する可能性が高いということになります。
・ 徹底した是正措置を心掛けましょう。単に特定の状況を修正するだけでは、もはや必ずしも十分でありません。必ず問題の根本原因を特定して、問題の根源を絶つような対処が必要です。陽性を示す環境サンプルのベクターサンプリングに対し、強化洗浄テクニックを用いてドレインなどの問題に対処し、最新の汚染密度の基準値を満たすことを確実とします。FDAより最近発行されたリステリア属菌に関するガイダンスは、是正措置に対する当局の現在の要求事項を理解するための良い参考資料となりますので、是非ご参照ください。
・ 記録の保存に関する基準の順守  FSMAでは、記録保存に対し新たなレベルの重要性が強調さています。とにかく日々、基本に忠実であることを心掛けましょう。貴社の食品安全計画の実施に関連するすべての記録を対象とし、記録には実数値を示し、判読可能であること、署名と日付を記すこと等を徹底します。是正措置に関しては、企業が問題に適切に対処しており、原因に焦点を当て、根拠を提出するために適切な対応に努めます。こうした記録が数年先、FDAに対し話の道筋を明確にする材料となり得ることを念頭に置いておく必要があるのです。
・ FDAとの関係を尊重しましょう。  FDAの査察には緊張感がつきものです。また、厳しい状況に直面した際や査察後にForm 483の指摘事項が説明された際などには、困惑といった感情や防御的な感情に見舞われやすいものです。そこで冷静かつプロフェッショナルな姿勢を保つことが重要となります。査察中及び査察後のフォローアップでは自社の責任、権利や方針を理解した、適切な雰囲気と戦略を打つことを心掛けていきましょう。 Form 483の指摘事項や警告文書(Warning Letter)といった規制上の対応に対しては、迅速、専門的、かつきめ細かな対応が必要です。
・ 危機に対応するための事前準備を行いましょう。 自発的に記録にアクセスしたり供述書に署名したりする等、問題に対する企業の対応方針を決めることは、査察の最中に無理に行おうとせず、待つことが得策です。企業は査察マニュアルを作成し、製造施設及び事業所の担当者による査察方針の熟知を徹底します。同様に、リコール計画やその他の危機管理プログラムを策定し、それらに対する定期的なトレーニングを行うなど、状況に主体的に取り組む体制を整えましょう。 そして、薬事コンサルティングやその他の外部専門家の必要性について把握し、戦略の構築の初期段階でそのような支援を取り入れることを検討し、先を見越し対応の幅を広げるオプションを用意しておきましょう。

食品に対する取締りの世界は変化を続けています。そのため企業では、重要な変化を把握し、その対応方法について理解しておくことが賢明と思われます。

 
著者のご紹介
Maile Gradison Hermida 
Hogan Lovells US LLPとパートナーであり、FSMAの実施に重点をおいた業務に取り組んでいます。自身の持つ深い法の知識を活かし、コンプライアンスストラテジーに取り組む企業の実用的なソリューションに置き換えていきます。ご相談は、maile.hermida@hoganlovells.comまでEメールでご連絡ください。

 
Brian D.
Hogan Lovells US LLPのシニアアソシエイト。食品及び農業関連企業向けに、FDAやUSDA査察、調査及び規制措置等、複雑化を増すハイステークスな国及び州の規制問題の対応強化をサポート。ご相談は、brian.eyink@hoganlovells.comまでEメールでご連絡ください。


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