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QA vs. QC(品質保証 vs 品質管理):その違いとは?

2018-09-28

組織体制が適切な企業では、品質保証とは製造業務から独立しており、品質管理は製造業務の一部であると考えられています。では、品質保証と品質管理の違いは何でしょうか?

一般的には、品質保証はプロアクティブなものであり、基準と不一致な事柄の発生を防止することを目的としています。一方で、品質管理はリアクティブなもので、検査や試験といった手法を通じて、基準と一致しているかどうかを確認することを目的とします。具体的には、品質保証が製品の品質を維持するための様々なルールや基準を策定し、そのルールと基準に沿って製品をチェックするのが品質管理です。

この関係は、アメリカの州立大学における州政府と各大学にも存在しています。アメリカの州立大学は、州政府が定めた法令によって運用されており、各大学のキャンパスに配属された警察官などは、校内のパトロール等を通じて法令に準拠した環境であり続ける活動を行っています。この場合、州政府の役割が品質保証であり、キャンパスに配属された警察官の役割は品質管理と類似しています。その為、州政府が存在しておらず、警察官だけで法令が制定されている場合、州内の他の州立大学との一貫性が崩れてしまい、同じ州立大学でも学校によって異なる状況が発生する可能性があります。このような状況は企業でも起こりうる可能性があり、複数の工場で同一の製品を製造しているケースで、適用されている手順や規格、運用体制が異なる場合、前述のような問題に直面するリスクがあるからです。

また、FDAやISO 13485で記載のように、「製造部門から独立していること」、「適切な権限を有すること」が品質保証には求められています。組織図上で独立した体制を構築することまでは求められていないですが、管理対象となる全ての部門との関係において、利益相反を避ける必要があります。一方で、独立した体制を構築せずに、品質保証に関わる全ての利益相反を回避することは、一部の企業では難しいといった現実的な課題もあります。

品質保証が製造または開発とは異なる独自の組織として存在していない場合、様々な利益相反が発生する可能性があり、次の表では、そのような事を要因とした事例をご紹介します。

対象分野・業務 状況例
報告体制、部門評価及び業績目標/業績評価指標

品質保証担当者は、製造業務の重要業績評価指標( KPI)として、 製品検査の合格率を最高業務責任者に報告しています。 品質保証部門は、組立後の製品が不合格となってしまう原因になりうる原材料や構成部品の数を低減させる為、 検査に関する教育を実施し、中間検査や最終検査における合格率の改善を支援しています。

また、品質保証は製品毎のAQL(合格品質水準)を設定する役割も担っています。その為、優れたAQLとは、いかなる不適合品でも見つけ出すことができる基準であり、また、検査対象の数を増やすことにより、その精度を改善することができます。一方で、このような厳しい品質水準を設定した場合、検査の合格率が大幅に下がり、結果として、前述のKPI達成を遠ざけてしまう行動となる可能性があります。

実地調査の必要性

品質保証担当者は、製造部門がA社(サプライヤー)と開く会議に定期的に参加しています。この会議では、A社の業務プロセスや人員等に関する課題が議論されており、品質保証の担当者としては、A社に対する懸念や疑念が大きく、実地監査を実施する必要性があると判断しました。

B社は、現在、サプライヤー要件を全て満たしており、C社に関しては、要件を大幅に上回る実績を残してきていました。その結果、B社及びC社に対しては、現地調査は実施せず、質問票に対する回答を持って、各社の品質状況を確認していました。

しかし、別の機会で現地調査をB社及びC社に対して実施した所、B社では装置のメンテナンスが有効期限を超過していたり、煩雑な出荷判定を行っていたことが明らかになりました。C社でも類似した課題が実地調査によって確認されました。この3社との取引及びリスクが類似した内容である現状を踏まえると、A社に対して現地調査を実施する判断をしたのであれば、B社及びC社に対しても実施すべきであり、また、特定の担当者から得た情報だけで、各社の品質レベルを判断するというのは、偏った品質判断を行っていると言えます。


ケーススタディ:統計的手法の選択における利益相反

設計検証試験(DVT)で適用される統計的手法の採用に関して品質保証は責任があり、次の表では、開発と製造それぞれに関連する利益相反のポイントを説明しています。万が一、品質保証の独立性が担保できていない場合、下記のようなケースにおいて適切な判断ができていないという懸念が発生します。

  開発 製造
考査点 利益 統計的手法 利益 統計的手法
必要データ量 試験報告書の作成に十分なリソースを確保する上で必要となるデータ量が最小限で期日が守れる統計的手法を選択 記述統計(平均、SD、レンジなど) 仮説検定 製造工程内で使用される自動試験システム/装置を使用する製品属性に関する特性データを得る設計確認試験の使用 グラフ法 (散布図/折れ線グラフ、パレート分析、Frequency Over Time Plots等)
サンプルサイズ サンプルサイズが最小のもの、あるいは試作品及び技術の構築に対する開発予算に応じてサンプルサイズを調整 仮説検定
受入サンプリング計画(不具合重大度は軽度/軽微で高いAQL)
実験計画法
合否判定率の予測可能性を高めるためにサンプルサイズを拡大 信頼水準または信頼度水準(高)
AQLを下げた受入サンプリング計画
分散分析(ANOVA)
不適合品の修正コスト フィードバックに対するコスト-最先端/デザイン力 実験計画法
AQLを下げた受入サンプリング計画
信頼水準または信頼度水準(高)
生産停止または回収の回避 AQLを下げた受入サンプリング計画
信頼水準または信頼度水準(高)
仕様変更 材料及び技術に従って正確な仕様の策定 グラフ法
(散布図/折れ線グラフ、パレート分析、Frequency Over Time Plots等)
実験計画法
分散分析(ANOVA)
変更された仕様(現行DMRの力量)とプロセスバリデーションへの影響を試験する製造装置 記述統計(平均、SD、レンジなど):製造装置の記述統計の評価に使用可能
サプライヤーの実績/サプライヤー評価:最新の仕様または最新の要求事項に対するサプライヤーの適格性評価(環境モニタリング、機器のニーズなどに対する潜在的影響) 記述統計(平均、SD、レンジなど):サプライヤー要求事項または材料受入に関する要求事項の定義に仕様可能


品質保証が製品の品質を保証するためには、「独立」していることが必須であることが理解できたと思いますので、品質保証と品質管理それぞれの責務を明確にし、この2部門間の組織内での関係性について明確にしていきます。

品質保証とは従来、以下の責任を担うもので、プロアクティブであり、不適合品の生産を回避することを目的としています。

品質保証の責任 他部門との関連性及び責任
文書管理  
変更管理  
不適合材料:調査及び廃棄  
設計管理  
ソフトウェアリリース  
サプライヤー評価とモニタリング  
サプライヤーに対する是正措置  
社内監査  
査察サンプリング計画策定  
是正・予防措置  
品質システムマネジメントのレビュー  
品質記録管理  
統計的手法の選択  
苦情管理  
環境管理  
ラベル管理  
最終製品/出荷  
滅菌品の出荷  
機器原簿(DMR)  
機器履歴簿(DHR)  
品質課題に対する傾向分析  


品質管理は従来、以下の責務を担うもので、リアクティブで、検査及び試験のメカニズムを用いて不適合品を検出、隔離することを目的としています。

品質管理の責任 他部門との関連性及び責任
材料検査  
マテリアルハンドリング(材料取扱い)及び保管  
不適合材料:調査及び隔離  
返品承認  
モニタリング及び測定装置の管理及び較正  
中間検査及び試験  
最終製品検査  
環境モニタリング  
ラベリングに対する査察  

 

著者のご紹介
Kim Washburn

規制関連業務専門家として、Kim Washburnは米国、EU、カナダをはじめとする世界70か国以上で活躍した実績を持つ。医療機器、生体外診断法、医薬品及び生物製剤業界にて15年以上の経験を有す。承認申請及び新製品開発サポート、ラベリング、医療機器ソフトウェア、FDA対応設計管理、リスク管理、技術文書作成を専門領域とする。コンサルタント以前は、Abbott Laboratories、OrthoSensor、NNipro Diabetes Systems及びUniversity of Miami Tissue Bankにおいて職責を務めた。West Point (United States Military Academy)から編入後、llinois State UniversityにてBiology/Computer Science(BS)取得。お問合せ先:kimberleewashburn@gmail.com

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