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CLIA vs QSR|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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CLIA vs QSR

2017-04-13

本稿の内容は2部構成でお届けし、FDAからの注目度の高いCLIAラボの施設開発検査 (LDT: Laboratory Developed Test)について、その問題点と現状を考察していきます。CLIAラボで独自に行われる検査は、最近までFDAの未踏の領域でした。(気づいていなかったとは言っていないですが…)
発行後比較的間もないドラフトガイダンス「FDA Notification and Medical Device Reporting for Laboratory Developed Tests (LDTs); Oct 2014」では、FDAの関心がLDTにあり、業界のこの分野に目が向けられていることが改めて表明されています。

自動車メーカー、NASA、情報技術システムメーカを含む数多くの企業では、高い品質基準で製品が製造されることを目的として品質管理システム(QMS)の実装が義務化されています。
医療機器のような製品では、QMSによって高品質の製品、また意図する性能を発揮する「有効性」や使用目的における安全性が実現されることになります。
米国議会は、検査がどこで実施されるかに関わらず、被検者の臨床検査結果に精度、信頼性、適時性を担保するために臨床検査室を実施するすべての研究機関に対する品質基準を確立する臨床検査改善修正法案(CLIA: Clinical Laboratory Improvement Amendment)を1988年に通過させました。最終CLIA品質システム規制は、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)及びCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)から発表され、2003年4月24日に施行されました。

臨床検査室における検査に関する規制が相次いで発行されるなか、1992年2月28日付けで米国保健福祉省(DHH S: Department of Health and Human Services)より、臨床検査室改善法基準(CLIA:1998)施行に係る臨床検査室標準規制(57 FR 7002)が発行されました(42 U.S.C. 263a)。こうした施行規則は42 CFR Part 493に集成されています。
CLIA規制では検査方法の複雑さに応じた品質基準を発表しており、FDAが医療機器メーカー向けに確立している品質システム要件に類似しながらも、それとは異なる臨床検査室向けの品質基準を確立しています。
検査システムが複雑になると、より厳しい基準が適用されるもので、検査の複雑度が「低度」「中度」「高度」に分類されます。そのため、特定検査の実施を予定する臨床検査室では、品質に関する新基準に適合すればCLIA規制に適合することができるものと考えられます。

1998年以降、臨床検査室ではLDT(laboratory developed test)と呼ばれる自家調整された検査法が開発されてきました。LDTは通常、アンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない治療のニーズ・未だ有効な治療法がない医療ニーズ)を満たす目的で、病院、大学、臨床検査室などの自施設内で用いられるもので、一般的に、被検者の迅速かつ正確な診断、モニタリング、治療方針の決定を目的として使用されます。
21世紀初頭、医学の進歩は目覚ましいものがあり、個別化医療という概念が急速な変化を遂げ、患者一人一人に応じた最適な薬剤を判断するためにLDTが発展していったのです。
こうした薬剤に特化したLDTは、通常、患者個人の薬剤への反応性を治療前に検査することをコンパニオン診断(またはCDx)と称されます。コンパニオン診断薬の進化に伴い、臨床での体外診断用医薬品(IVD)は、近年からFDAによる薬事法上の監視下に置かれるようになったのです。

これまで、CDx用医療機器として、開発あるいはFDA承認を取得した製品はほとんどありませんが、明確になってきている事実が一つあります。それは、LDTであっても、医療機器や医薬品に関する規制下で製品の管理を行うことをFDAがCDxメーカーに対し要求しているということです。
そのため、医薬品や医療機器に関するFDA規制に準拠したQMSの策定は差し迫った課題であり、現在は特定検査に対しては義務化されている状態です。しかし、既存のQMSがCLIAの水準に適合している多くの臨床検査施設では、FDAのQMS規制に十分に適合できるものと考えがちですが、一言で言うとそれは間違いです。
特に、CLIA認定ラボで導入されているQMSというものは、QMSの基礎的仕組みを築くためのもので、医療機器の品質システム規則である21 CFR Part 820と似てはいますが、「非常に良く似た別もの」です。 CLIA QMSの要求事項は、不十分な点が多く、さらに、近年のCDx用製品の承認により、医療機器のQSRに十分適合するようなQMSが臨床検査室においても導入されることが期待されています。
第1部では、一連のQMS要件の類似点及び相違点についてご説明します。また第2部では、(FDAの対応に不慣れな企業の皆様に向けて)規制準拠を目的とした適正な対応ができているかを正しく判断するための方法についてご説明いたします。

誤った認識:いずれの品質管理システムも、構築されるシステムは同じである。
 
通常、QMSでは、業務の責任は階層型に定められ、プロセスや製造を安定的に継続するための手順を確立しています。
組織内の役割及び責任、QMSプロセスのモニタリング方法及びモニタリング後の改善方法、プロセスやシステムで不適合となる製品やアウトプットの同定、評価、適切な処分等を確実に行うための方法が文書化されています。
CLIA規制適合QMSとFDA規制適合QMSとの重要な相違点は、要求事項の適用範囲にあります。

現行のCLIA規制(42 CFR 493)のサブパートKでは、複雑度が「低度」以外(つまり「中度」または「高度」の場合)の検査を実施する臨床検査施設に対する品質システムに関する要求事項が定められています。
この規制では、適切な要員の資格認定、検査の生成前後及び最中における被検者の検査結果の生成及び管理方法に着目しており、被検者の検査結果を得るために用いられる検査システムの管理も含まれています。
サブパートKではこの他に、臨床検査施設の検査プロセスが規定に従って実施されていない場合や分析検査で予測値から外れてしまった場合に是正措置を講じ、既存品質管理システムにおける操作や処理手順の評価方法が規定されています。
しかし、重視している点は、被検者検体識別時の最終製品、被検者検体の取り扱い管理、検体の検査メソッド、最終結果報告となっています。

医療機器QSR (21 CFR 820)は、医療機器メーカーに適用されます。QSRに準拠する品質システムでは、機器の使用に疑問や不適切さが感じられる場合の管理や行動を含み、医療機器の設計、開発、製造、流通がどのように行われたかを重視しています。
 QSR QMSで着目するのは、最終製品の性能だけではなく、すべてのプロセスがどのように遂行されたかである、とも言え、医療機器の最終ユーザーである医師や機器の使用を受けた患者に意図しない後遺症が残ってしまうことがないように規制しているのです。
QSR QMSでは、適切な管理と組織の仕組みを確保する目的で、要員、製品及びプロセスの継続的な改善方法、様々な段階におけるQMSのモニタリング方法に関する要件が定められています。
また、この基準には、医療機器の開発プロセスの要件や、製造プロセスの管理で期待される事項、不適合な品や不適合なプロセスの特定、評価及び廃棄に関する事項も定められています。
CLIAとQSRの相違点は、QSR QMSは、最終製品やQMSプロセスに着目している点で、単に製品自体に着目しているのではないということです。

品質システム要件の違いは、規制当局が異なる点と、規制上の着目点が異なる点です。 CLIA規制はCenters for Medicare and Medicaid Services (CMS)によるものですが、医療機器の品質管理に関する規制はFDAのCenters for Devices and Radiological Health (CDRH)が定めています。
いずれの規制当局も、第一に重要視しているのは被検者(及び、多くの場合に製品及び検査システムの使用者)の安全性ですが、CDRH規制21 CFR 820下のQMSでは、意図した製品性能の有効性に重点を置いています。
有効性は、機器を使用する度に同一の性能を示す、あるいは単回使用の医療機器の場合は、機器ごとに同一性能を示すことにより明らかになります。CDRHは、21 CFR820規制下では市販後の医療機器の安全性及び有効性の責任はメーカーにあるとしています。

CLIAラボがLDTを行い、特定の薬剤/生物学的製剤の技術、または医療機器の使用に当てはめようとした場合、製品の法律上の分類が異なる可能性があります。
 明らかなことは、CDRHの下ではLDTは施行の自由裁量(enforcement discretion)がとられてきたのですが、最近発表されたコンビネーションプロダクトに関する21 CFR Part 4では、LDTがCDxとして医薬品・生物学的製品、または医療機器に並ぶものとして認識されています。
これは、LDTに対する施行の自由裁量を停止し、FDA規制下での積極的な監督の確立を行うものです。
さらに最も顕著なのは、薬剤/生物学的製品/医療機器に使用するLDTは、In Vitro Diagnostic(IVD)として知られる医療機器に分類されることが定められています。
これらの医療機器は、最近では2014年10月3日発行のFDAガイダンス(案)「Framework for Regulatory Oversight of Laboratory Developed Tests (LDTs) (検査室開発検査(LDT)に関する薬事法上の枠組みの概要)」で分類されている通り、21 CFR820規制下のQSR QMSモデルへの適合が求められています。
当初、CLIA認証と一致する簡略化されたシステム構成となることを推測していましたが、CLIAラボに関する最近の事例によると、こうした考え方は誤りであることがわかります。ガイダンスには、LDTの監督に対応するリスクベースのフレームワークに関する記載があり、LDTを「製造」する臨床検査室を対象としたガイダンスが示されています。
また、検査施設に対しFDAがどのように、医療機器メーカーとして検査施設に関連する規制の施行を適用しようとしているかが示されています。
ガイダンスは、包括的な内容を記述した構成ではありませんが、明確な方向性と何から始めるべきか判りやすい枠組みが示されています。

繰り返しになりますが、品質システムで着目する点が異なることから、CLIA QMSでは、CDxやIVDとして使用するためのLDTの開発、つまり「製造」における臨床検査施設の活動のごく一部分だけが対象範囲となっています。
CLIAは被検者の検査結果の出し方に関連するプロセスに着目しているのに対し、QSRでは検査(例えば医療機器等)の設計及び製造プロセスに着目しているということです。
CLIAラボが気をつけるべき点は、今後検査で被検者検体を使用する前段階のLDT「作成」時の行動に説明責任があるということです。
例えば、ELISAゲルを調整して測定する場合、LDT製造プロセスというは、試薬の受け入れや材料の組み合わせ手順を含む範囲になるわけです。
QSRにおける検証の目的がCLIAラボにとって、わかりにくいことが何度もありました。臨床検査施設の検査の「検証」活動では、臨床検査施設において検査を実施するプロセスと被検者の検査結果を出すプロセスは一致するところも多く、まったく同じプロセスで実施されてしまうことさえもあります。
こうした場合、被検者の検査結果生成という行為は、製造したものを直ちに使用するもので、「検証」の対象物が何も残されないことになります。
しかしながら、FDAの見解では、試薬に対する試験などの開発プロセス、または被検者検体の検査で使用する機器の管理は「製造」活動の一部であり、手順やプロセスの文書化は必須で、これらのプロセスが予見されうるパフォーマンスを発揮しなかった場合に措置を講じることも含め、設計・開発・管理されなければなりません。

次回トピック:How to work with the FDA to establish a compliant system

許可なく本稿を複写することを禁止します。本稿は、Med Device Onlineに掲載されたものです。第2部も本サイトでお楽しみください。

Sharon Kvistad
Navigant’s Healthcare and Life Sciences Disputes, Regulatory, Compliance, and Investigations (HLS DRCI) practiceアソシエイトディレクター
米国内及び国外において医療機器の薬事関連業務に30年以上携わる。FDA規制プロセスを導入した企業の設立及び事業展開に関するアドバイザーとしても活躍し、薬事戦略の開発及び実施や、当局への臨床及び販売承認申請に係る業務が専門。国内においては、IDE、 PMA、PMA/S、HUD/HDE、510(k)の申請経験を有する。

また、製品開発においては薬事部門の要員として参加し、FDAや関連規制当局と、クライアント代理として交渉に当たる。手順書の作成や導入、エンジニアリング、製造、マーケティング、販売部門要員のトレーニングプログラムにおける経験が豊富。これまでに携わった製品には、心臓インターベンション製品、短期及び長期植え込み型の心臓関連製品及びアクセサリー、心臓カテーテル、植え込み型人工内耳、クラスI製品がある。

Paula Gray, RAC
Navigant’s Healthcare and Life Sciences Disputes, Regulatory, Compliance, and Investigations (HLS DRCI) practiceシニアコンサルタントとしてFDA規制関連に着目したサービスを提供している。
医療機器及び診断分野の法令遵守、品質システム、監査(社内及び購買先)に関する業務に15年間携わる。市販前及び市販後の法令遵守が専門で、品質管理及び品質保証、文書管理、設計管理、ソフトウエアに関する法令遵守関係、リスクマネジメント、不適合製品に関する取扱い、苦情処理、有害事象、CAPAなどの経験を有する。組合せ製品に関する経験も豊富。

著者のご紹介
Paula Gray, Navigant
連絡先:317-288-725
paula.gray@navigant.com
Sharon Kvistad, Navigant
連絡先:317-228-8715
sharon.kvistad@navigant.com

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

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