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AIツールを使用したライフサイエンス業界におけるQMSの変革 Part 1|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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コラム

AIツールを使用したライフサイエンス業界におけるQMSの変革 Part 1

2018-12-21

ライフサイエンス業界では、人工知能(AI)の情報量を利用した意思決定の方法を取り入れるべきである、という考えが広がっています。

AIツールがライフサイエンス業界の品質管理に変革をもたらすということは、米国食品医薬品局(FDA)ならびに製薬及び医療機器分野間で意見が一致しています。サプライチェーンマネジメント、ロットリリース、製造、コンプライアンス、臨床試験エンドポイント及び創薬が、影響を受ける領域として挙げられるでしょう。

顔認識や自動車の運転、チェス競技、作曲等、他業界においてめざましい成功を収めているAIに、近年、製薬業界の注目が集まっています。これまでに製薬業界では、主に研究開発及び臨床応用にAIが利用されてきました。アルツハイマー病の予測乳癌の診断や精密医療(Precision Medicine)及び予測医療(Predictive Medicine) への適用がその一例です。

Xavier Health Artificial Intelligence Initiative(以下:Xavier Health AI Initiative)は、さらなる可能性や潜在的障害の探査をその目的とし、2017年8月に設立されました。オハイオ州シンシナティのXavier Universityで2018年3月に開催されたFDA / Xavier PharmaLinkカンファレンスでは、イニシアチブをとる2つのワーキンググループが、最新の状況を発表しています。2018年8月に開催されるXavier AIサミットでは、製薬及び医療機器企業におけるAIの活用法について、より詳細に解説される予定です。

Xavier Health AI Initiativeは、製薬業界及び医療機器業界全般におけるAI利用の拡大に向け取り組んでいます。品質管理、薬事関連業務、サプライチェーンオペレーションおよび製造業務全般にAIを導入することが主な任務となり、人間の意思決定の強化を図っています。AIの利用により、業界のリアクティブな環境をプロアクティブにし、予測的、さらには規範的へと移行させることをビジョンに掲げています。

これらの目的は、製品品質の一貫性を確実にし、患者の安全性をより高めることにあります。プラント監査や製品サンプリングなど製薬業界で従来用いられてきた技術を、莫大な量のGMP及び非GMPデータの継続的モニタリングに移行し、継続的な製品品質保証の実現を目指しています。

AIとは?
簡単に言えば、AIとは、コンピュータが人間の能力と同等またはそれ以上の性能を発揮するタスクの略語です。知識ベース、エキスパートシステム、機械学習などのさまざまな方法が活用されています。AIは、コンピュータアルゴリズムを使用して、人間が行うよりもはるかに効率的かつ迅速に、大量の生データ内のパターンやコネクションを見極めることができるのです。

機械学習方法の1つである深層学習(Deep Learning)は、複雑な問題の解決を複数の手順または層に分割し、データセットからベース構造を発見することで、より段階的に深い層から情報の修飾を行っていきます。熟慮されたシステムでは、こうした層がすべてつながって、前向き・後向きともに比較が可能となっています。

もう一つAIのサブセットとして知られている機械学習は、ニューラルネットワーク、つまりヒトの脳にならって作られるコンピュータシステムとなります。これには多層確率的分析が含まれているため、コンピュータがシミュレーションを行い、人間の脳が情報をどのように処理するかを拡張することが可能となります。

懸念事項
これらの機械が "学ぶ"につれて、意思決定に達するための経路が変わるため、アルゴリズムのオリジナルプログラマーでもどのように決定に到達したかを知ることができません。これが「ブラックボックス」を作成することとなり、意思決定や行動の理由を文書化する必要がある医薬品などの規制の厳しい業界にとっては、問題となります。

Xavier Health AI InitiativeのディレクターMarla Phillipsは3月のカンファレンスで、「私たちの業界ではプロセスの検証が重要です。検証手順が決定したら、次回も同じ方法で行っていくことが通常ですが、継続的に学習するシステムでは、アルゴリズムが進化しますので、同様のアルゴリズムではありません。この新しい世界でどのようなマネジメントを展開しますか?」と問いかけています。

さらに、AIが行う意思決定の論理が明白でないことが原因で、疑義を生じさせるような事態も想定されます。Xavier Health AI Initiativeは、より堅牢なデータと情報で人間の意思決定の拡充を図ることに重点を置いています。データソースの信頼性があってこそ、エンドユーザーはアウトカムに対する信頼度を高めるのです。

インプットをアウトカムに結びつけるプロセスは、「説明可能性」と呼ばれ、Xavier Health AI Initiativeが行っているもう一つのワークストリームです。多くの場合、AIアルゴリズムは知的財産とみなされますが、説明能力を介してエンドユーザーはアウトカムにつながったインプットを知ることができます。つまり、AIに対し、まずは既知のインプット及び既知のアウトカムを用いてテストとトレーニングを行うことで、アルゴリズムに対する信頼度を高めるというものです。

この教師あり学習(Supervised Learning)は、重要な第一ステップです。業界のほとんどはこのレベルの取り組みを行っています。しかし、次のステップは、深いニューラルネットワークによる教師なし学習(Unsupervised Learning)となります。教師の有無にかかわらず、インプットとアウトプットのつながりの整合性が維持されることが必須であり、これによって人は自信をもってAIを介しての意思決定の向上を図ることが可能となるのです。

さらに、AIを使用する際には、組織で必要となる文化を考慮すべきだと考えられています。例えば、Marla Phillipsはこんな質問を投げかけています。『「(AIツールから)この製品は不合格となります。リリースを取りやめますか?」という情報を得たとします。その製品は、リリース以来20年間の製品と何ら変わらない製品に見えます。そのような場合、あなたは管理者に対し、『これを廃棄しなければなりませんか?この製品が不合格だと、どうしてわかるのですか?私たちとAIでは、意思決定の状況と文化がまったく異なっているからでしょうか」という意見をぶつけますか?』

次回の連載は2019年1月を予定していますので、お楽しみに!

著者のご紹介
Jerry Chapman

GMPコンサルタントであり、医薬品業界に40年近くの経験を有し、製品開発、製造、工場品質、サイト品質、企業品質及び品質システムの技術者や管理者を務めてきました。Eli Lilly社にて包括的"GMP Intelligence"プロセスを設計、導入した実績に加え、2017年にはトップ5に入るアニマルヘルス企業のコンサルタントとしても活躍しています。Chapman氏は、International Pharmaceutical Quality(IPQ)のシニアエディターを6年間務め、米国及び国際的GMPならびにCMCの話題を取り上げ、幅広く報告してきました。現在は、GMPインテリジェンス、クオリティナレッジマネジメント、GMPトレーニング及びその他のGMPトピックの開発と実装に関するコンサルティングに従事しながら、フリーライターとしても活躍中です。彼が発信する情報に興味がある方は、Chapman氏のウェブサイトをご覧ください。またはEメールjerchap2@gmail.comにてご連絡ください。

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