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オーストラリアの変動する医療機器保険償還制度の情勢 Part 1|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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コラム

オーストラリアの変動する医療機器保険償還制度の情勢 Part 1

2019-01-09

医療機器メーカーにとってオーストラリアは、十分に教育された医療従事者を備えているなど環境が十分に整った市場であり、成熟し洗練された魅力的な市場と言えます。保健システムは比較的潤沢な資金を有し、全体的にも効率よく機能しています。また、メーカーにとっては、収益性の高い価値ある国となる可能性を秘めています。全ての先進国と共通し、保健システムに対する回避不能な財源上の圧力が存在し、意思決定における高品質な臨床的及び経済的根拠への依存がますます高まっているという現状が存在からです。

メディケア・オーストラリア(Medicare Australia)は、同国の全国民を対象とする公的医療保険制度です。さらに、全オーストラリア人の半数近くが、民間医療保険(PHI)の購入を選択しています。PHIは、病院に関する補償と補足的医療・保険サービスに対する補償(ancillary cover)のみに限定され、一次医療(primary care)と医薬品は対象外となります。その結果、医療システムには、公的システムや民間システムが混在しています。これによって、システムには財政的な意図しない誘因(perverse incentives)の機会が生じ、システムの断片化につながる可能性があります。

公的及び民間の医療専門サービスに助成金(subsidy)を支払うメディケアシステムの原則が、Medical Benefits Schedule (MBS) という保険規定になります。メディケアの助成の対象となる何千もの手技と治療が収載されています。 MBSは、外来センターや医院(doctor's offices)、公的病院(Public Hospital)及び民間病院(Private Hospital)における医療サービスの保険償還の基準となるものです。 従って、MBSは医療技術メーカーにとって非常に重要なものとなります。

メディケアからの給付を受けるためには、当該医療行為がMBSに収載されていることが必要となります。医師はメディケアから助成金を受け、入院や手術等の費用は患者の保険会社の負担となります。オーストラリアの支払方式では、民間病院で使用される埋め込み型医療機器に対し、保険会社が入院等に支払う以上の給付金の支給対象となるという特質があります。人工股関節やペースメーカー、血管グラフト等の埋め込み型医療機器は、医療材料リスト(Prostheses List)に収載されており、この追加支給の対象となります。 Prostheses Listに収載されていない埋め込み型医療機器に関しては、民間病院での使用に対し支給を受けることは非常に難しくなります。

Prostheses Listに収載される医療機器に対しては、特定の基準があります。医療機器は、薬品登録制度(Australian Register of Therapeutic Goods:ARTG)への登録が義務付けられています。当該医療機器を使用する医療行為は、入院時に実施されるものであること。また、医療行為のMBS項目番号が必要となります。さらに、製品に対し以下の内容が求められます。

(a)以下のいずれかを目的として、患者に外科的に埋め込まれるもの、また適切に設計されているもの。

                (i) 身体的部位の置換(replace an anatomical part)
                (ii) 病的プロセスへの対抗(combat a pathological process)
                (iii) 生理的プロセスの調整(modulate a physiological process)

そのため、単回使用アブレーションデバイス、バルーンカテーテル及び同様の医療機器等、これらの厳しい基準を満たさない製品は、病院が入院に対し受け取る支払額に対しその分の費用が見合っていなければならないため、不利となります。これにより、埋め込み型医療機器を使用するための意図しない誘因(perverse incentives)がもたらされるのです。
 
Prostheses Listは、ここ数年間、オーストラリアにおける論争の的となっています。この論争は、公的病院における埋め込み型医療機器に支払われる価格と、民間病院において支払われる価格との間の相違に起因するものとなります。(公的病院には民間病院と異なる資金調達メカニズムがあります)オーストラリアのPHI業界は、オーストラリアのメディアにおいて、一部の医療機器が民間機関では公的機関よりもはるかにコスト高であり、他の類似国よりも高価であると主張する積極的なキャンペーンを実施しました。その結果、民間機関における埋め込み型医療機器の価格を引き下げるべきというかなりの政治的圧力が、オーストラリア政府にかかったのです。医療機器の価格規制に関する様々な上院の調査とPHIの購入の可能性(affordability)がメディアの注目を集めました。

次回は、合意事項の紹介から現状の課題などの紹介を予定していますので、お楽しみに!

著者のご紹介
Sarah Griffin

Brandwood Biomedicalの保険償還に関するPrincipal Consultant であり、オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋の保険償還、医療財政制度及び医療経済に関する専門コンサルティングサービスを提供しています。またGriffinは、すべての償還コンサルティングプロジェクトの管理監督を担当。医療経済学、健康保険、健康政策と法律、医療金融と償還制度、政府関係など、医療技術分野で25年以上の経験を誇ります。

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