MASTERCONTROL NEWS
コラム
2019-02-06
本記事は、連載企画の第三弾です。過去の配信記事をご覧になりたい方は、下記をクリックしてください。
・ 法規制、品質システム、データインテグリティの関連性 パート1
・ 法規制、品質システム、データインテグリティの関連性 パート2
データインテグリティ導入時に検討すべき方針
EU GMPガイドラインなどの既存の法規制にて既に網羅されている範囲以外にも、新しい考え方が誕生してきています。データインテグリティに関する自社の方針を検討する際には、そのような新しいポイントに着目する必要があります。
1. 方針の策定
まずは、責任者または同等の権利をもつ管理者が、データインテグリティに関連する課題を考慮し、そのプロセスを方針や手順という形式で文書化する必要があります。下記は、文書に含めるべきいくつかの重要なポイントをご紹介しています。
データインテグリティの定義 データインテグリティの計画及び導入を行う担当・部門の決定 マネジメント戦略の導入 セキュリティ CAPA データの変更や変換、移行 ITソリューションを通じた運用における特定の制限事項の理解 |
上記の点も網羅した方針は、責任者または同等の権利をもつ管理者が承認する必要があります。その内容は、社内教育などを通じ、組織内で関連する全ての担当者と共有する必要があり、どの記録も適切に作成し管理する必要があります。
2. マッピング、リスクアセスメント
マッピングは、EU GMPガイドラインに既存の要求事項ですが、バリデーションマスタープランと混同しているケースを良く見かけます。ソリューション導入時に作成するといった具合に、この2種類の文書を並行で作成することも可能ですが、マッピング単独での拡張性を担保する為、独立させることを推奨しています。尚、これまでのマッピングは、システムを重視した考え方でしたが、下記のように、データの全体的な流れに沿った考え方を意識する必要性が強まっています。下記は、記述の流れでデータを運用した場合の一例です。
フローチャートでは、下記のポイントを明確にすることが重要です。
・ データ生成に関連している要素
・ 生データの保管や保護に関連する要素、また、総合的に短時間でデータの復元が可能な要素
・ データの転送先の場所、また、データの重要な点が変更不可であることを企業として証明する手順
・ リスクが確認された際に事象の管理及びリスク低減を行うための手順
・ データの作成からアーカイブ、削除(必要に応じて)といったライフサイクル全体の定義
また、対象データの重要度に応じて、リスクアセスメントにはレビューの頻度も策定する必要があります。
次回が本連載の最終回ですので、お楽しみに!
著者のご紹介
Philippe Charbon
マスターコントロールの公式パートナーであるApsalys社のCEOであるCharbon氏は、20年以上、ライフサイエンス業界におけるIT分野の専門家として携わってきました。業界でもトップクラスのコンサルタントとして、業務環境や規制対応とITを組み合わせた様々な解決策を提案し、現在は主にデータインテグリティー分野にて活躍しています。
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