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オーストラリアの変動する医療機器保険償還制度の情勢 Part 2 |ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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オーストラリアの変動する医療機器保険償還制度の情勢 Part 2

2019-02-13

民間医療保険業界は、民間の埋め込み型医療機器市場に最大10億ドルのコスト削減を要求しています。これが吹っかけ的主張(ambit claim)あることは間違いないのですが、オーストラリア政府にそれを実施すべきだと感じさせるような政治的な圧力が存在していました。 オーストラリアの医療技術業界体の主要機関であるMedical Technology of Australia (MTAA)は、政府からの一部譲歩と引き換えに、3億ドルの給付削減を吸収するよう政府との交渉を実施しました。最終的には、MTAAとオーストラリア政府との間で5年間の合意に至りました。

合意条項は、以下のとおりです。

・ 医療機器のカテゴリに応じて、5.5%から27.5%の範囲で2年間の削減を実現すること。非常に高価であると認識されていた心臓ペースメーカーや除細動器に適用される削減が最高となること
・ ARTGアセスメントプロセス及びProstheses List評価の重複の排除 
・ Prostheses Listの発行を年3回とすること
・ 透明性及び公平性が増すベネフィット設定プロセスの改革
・ 非埋め込み型で臨床的及び費用対効果の高い装置がProstheses Listに含まれるよう、リスト基準の見直し

業界の合意に関しては、賛否両論があります。反対論はもちろん、他の機器よりもより大きな影響が及ぶとされる一部の医療機器の製品価格の下落です。一部料金が増大する可能性があり、業界にとって好ましい変更とは最長の実施時間を有することです。賛成論は、依然として非常に収益性の高いオーストラリア市場へ進出を望むメーカーにとって、大いなる確実性の向上が見込める点となります。時間の経過とともに、ガバナンスやレビュープロセス及び透明性が向上することが業界支援となり、リスト基準の見直しにより革新的な技術に多大なチャンスがもたらされるでしょう。

オーストラリアの公的医療システム(public hospital system)は、医療機器にとってはかなり異色なマーケットです。公的医療システムは研究を重視しており、多くの革新的な医療機器は民間病院へと販売される以前から、公的病院で使用されています。珍しいProstheses Listのメカニズムを備えた民間医療システム(private hospital system)とは異なり、承認申請を受けた医療機器は、すぐに公的病院で使用することができます。医療機器には保険償還は設けられていません。他の公衆衛生システムと同様、公的病院は財政面での制約があります。優れた価値を提供し、節約効果をもたらす可能性がある製品は、市場開拓の可能性が高いとされています。ほとんどの場合、製品は一般入札(public tender)を介して公的医療システムに販売されます。

オーストラリアの病院は、DRG(Diagnostically Related Group)システムによって資金提供されています。Australian Refined DRG(AR-DRG)は、患者分類システムとして、病院で治療されている患者タイプを病院が必要とするリソースに関連付ける臨床上の意義が高い方法として使用されています。このシステムは、詳細な病院費用範囲を作成する包括的な年次調査であるNational Hospital Cost Data Collection(NHCEC)によって支援されるものです。この方法により、公的病院への入院に対し特異的なAR-DRGが割り当てられ、このAR-DRGは「コストウェイト(cost weight)」にリンクします。例えば、膝の再建術はコストウェイトが1.70で、肝移植は32.92となります。毎年、Independent Hospital Pricing Authority (IHPA)では、コストウェイト1のNational Efficient Price(NEP)を決定します。一連の非常に複雑な調整がありますが、簡単に言えば病院は、医療行為に対しAR-DRGのコストウェイトをNEPに乗算した資金が供給されます。2017~2018年度のNEPは、$4,910 AUDです。

この資金調達システムと医療機器メーカーとの関連性は、デバイスがそのデバイスの経済的及び臨床的利益を実証すべきであるということにあります。費用の増加を伴わずに臨床的パフォーマンスの改善を示すことができる、または代替的に、リソース使用の削減が可能なデバイスの成功可能性が高いということです。

オーストラリア政府は、一次医療の新モデル等にも投資しています。政策では、効率改善の目的でデジタル薬(digital medicine)の使用を推奨しています。テレヘルス、遠隔監視、医師の診療所で行われるoffice-based procedureなど、オーストラリア人のコミュニティ離れと入院を回避することができるテクノロジーを所有する企業にとっては、チャンスが存在します。

結論として、すべての国家医療制度に影響する財政的制約にもかかわらず、オーストラリア市場は医療技術提供者にとって望ましい市場となります。価値の高い市場ではありますが、複雑であることも確かです。成功には、公的及び民間の二元的マーケットのさまざまなニュアンスを理解することが不可欠となります。
 
Griffinは本年初旬、Brandwood Biomedical’ のAsia Pacific Device Summitにて本トピックの発表を行っています。2019年の日程については、 www.asiapacificdevicesummit.com にてご確認いただけます。

著者のご紹介
Sarah Griffin

Brandwood Biomedicalの保険償還に関するPrincipal Consultant であり、オーストラリア、ニュージーランド、アジア太平洋の保険償還、医療財政制度及び医療経済に関する専門コンサルティングサービスを提供しています。またGriffinは、すべての償還コンサルティングプロジェクトの管理監督を担当。医療経済学、健康保険、健康政策と法律、医療金融と償還制度、政府関係など、医療技術分野で25年以上の経験を誇ります。

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