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データ インテグリティー:なぜ今もホットトピックなのか?【後編】|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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データ インテグリティー:なぜ今もホットトピックなのか?【後編】

2019-05-08

本記事は連載企画の後編です。前編をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。

III. 解決策

ここから紹介するポイントは、長年の間データインテグリティーのプログラムを構築・運用してきた私の経験の中で、最も効果的な解決策です。ただ、下記の内容を実際に導入する場合、各企業の事業内容が異なるように、各企業の特徴を把握した上で調整を行うといったアプローチは必要となります。

1.データのライフサイクルを理解する

導入が容易な解決策とは、現在の運用方針に近い手法を用いた策です。例えば、新しい機器や機材を導入する場合、既存の業務に沿った要件で手配したものであれば、その導入も簡単になります。しかし、そのデータをどう扱うかといった観点で考えてみると、導入したソフトウェアがデータインテグリティーを支援する機能を搭載していた所で、ライフサイクルやデータの流れを理解せずに運用するのでは意味がありません。複数の分野を通るライフサイクルにて運用されるデータの流れは、皆さんも良く知っているPLM(プロダクト ライフサイクル マネジメント)の考え方に似ています。

製品を製造する場合、製品の品質を担保する為に必要となる様々な工程が予め定義されており、その一つ一つのステップを通過することで、製品の品質を保証するというのが基本的な考え方です。データインテグリティーの考え方もこれに似ていて、データに対する処理や検証といったステップを予め定義し、その通りに進めていくことで保証することができます。

推奨する戦略

・ どのようにデータが機械や紙運用の現場から移動していくかについて検討し、その誕生から終わりまで、どのようにデータが変化しているかを時間をかけて確認しましょう。
・ データの品質の維持を検討の中心に据え、データインテグリティーを保証する上で必要となる新たなプロセスや修正内容を検討していきましょう。

2.自社におけるGxPのデータの流れを文書化する(データのライフサイクル)

データのライフサイクルを把握したら、次はライフサイクルにおけるプロセスの文書化です。製造施設の場合、このプロセスはバッチ記録からスタートし、GxPに関わる保守記録や教育記録などに関連していきます。GxPにおけるデータの流れを文書化することは、プロセスの管理者とデータの利用者にとっての重要度や優先度などの情報を把握することに繋がります。同時に、データと業務プロセスの結びつきも把握することに繋がりますので、業務効率の改善などに役立てることができます。

推奨する戦略

・ ライフサイクルにおける各ステップの把握を含めて、GxPに関わるデータの流れを紐づける
・ データのフローチャートを作成し、プロセスの管理者とデータの利用者も参照できるような文書として運用する

3.データインテグリティー向けの正式な計画を立てる

品質システムにデータインテグリティーの要素を取り入れることは、短期的なプロジェクトを遂行するというより、企業文化を変えるというニュアンスの方が強い活動です。その為、データインテグリティーを保証する為に必要な各作業を定義し、プロジェクトとして計画が完成したら、承認手続きを取る必要があります。査察官の立場で考えれば明らかですが、口頭で「現在、データインテグリティーの強化に取り組んでいます」と伝える企業より、適切に文書化された計画に沿ってデータインテグリティー強化を進めている企業の方が印象が良いと思います。

また、このような計画を立てる際、自社の現在の状況を注意して認識するようにしましょう。これには、既存の品質システムにおけるデータインテグリティーの扱いや、今回、導入を予定しているデータインテグリティー対策の要旨なども定義する必要があります。このようなポイントは、後々、問題につながるケースが多い領域になりますので、必ず確認しましょう。

推奨する戦略

・ データインテグリティー強化の為、既存のシステムと新しく導入するシステムの管理方法の詳細について適切な手続きを踏みながら計画していきましょう。
・ QMSを次のレベルに引き上げることを意識して、新しい品質システムの導入を行いましょう。その際、下記の点にも注意してください。
   ◦ GxP対象となるデータがどれなのかを定義する
   ◦ 対象のデータに対するライフサイクルを定義する(通常は文書の種類毎)
   ◦ GxP対象となるデータが含まれるシステムに存在するリスクへの対応や品質管理プロセスの導入(検証や維持を含めて)
   ◦ 既存システムに対する評価を行い、データインテイグリティーの管理に影響を与える課題に対する対処を行う

データインテグリティーの強化や対策を既存の品質システムに導入することは容易ではありません。コンサルタントとして、特定の業務プロセスの改善や製造機器の導入といった案件は多く担当してきましたが、データインテグリティーは従来とは大きく異なる性質を持っています。それは、複数の業務プロセスやソフトウェア、手順書、さらには組織を横断しながら保証するプロセスであるという点です。その為、データインテグリティーを検討する際、まずデータを製品として考えることをお話しました。それは、製品のライフサイクルと同様に、データに対する適切なライフサイクルの理解がデータインテグリティーの対策において極めて重要だからです。この考え方をマスターすることで、データインテグリティーの悩みから解放される企業が増えることを願っています。

著者のご紹介
Matt Brawner

Matt Brawner氏は、製薬及び医療機器業界に18年以上携わっており、品質や製造、自動化、IT、開発、組織体制など、様々な領域にてご活躍されています。ここ最近では、グローバル市場でもトップクラスの企業同士の合併における品質マネジメントシステムの統合プロジェクトにてリーダーを務めており、シックスシグマのブラックベルトを保有し、Sequence社のデータインテグリティーを専門としたエキスパート(SME)及びディレクターを経験されています。

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