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製薬業界におけるQuality by Design(QbD)とは?【後編】|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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製薬業界におけるQuality by Design(QbD)とは?【後編】

2019-06-19


本記事は連載企画の後編です。前編をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。 

3. デザインスペース:重要工程パラメータ(CPP)の特定や、CMAやCPPとの関連性(スケールアップの方針等)を網羅したプロセスの設計及び理解
CPPは、最終製剤の外観や純度、供給量などに重要な影響を及ぼす開発工程であり、製造前や製造中にモニタリングされるべき要素です。ICH Q8では「デザインスペース」として、「品質を保証するものとなる入力変数と工程パラメータとの多次元的な組み合わせと相互作用」と定義しています。また、デザインスペースは申請者が提案し、規制当局が評価及び承認するものであり、その範囲内において承認後に発生する変更であれば届け出が不要である点が、QbD導入の明確かつ重要なメリットとなります。

4. 管理戦略:原薬や添加剤、製剤の仕様、製造工程の管理
前述のQbD活動を通じて収集した情報から管理戦略を構築します。管理戦略の目的は、原薬や規格、生産工程における品質課題の原因及び管理、最終的には出荷試験までのプロセスが含まれます。

5. 製造プロセスの能力と継続的改善
製造プロセスの能力とは、製造工程における様々なパフォーマンスを統計的に測定することを意味しています。安定稼働状態にある環境の場合、一定基準を満たしていない状態はランダムに発生した偶発的な課題であると認識できます。一方で、QbDを考慮していない場合、生産を開始してまだ日が浅い段階などでは、様々な品質課題が発生する傾向にあり、問題の早期把握や軽減対策の実施等を通じて、工程に対する微調整を行うことで目標値に近づけていくアプローチになります。 

QbDの未来
QbDの導入は、膨大な時間や費用、人材、専門知識等が必要だった為、当初は大企業での採用が中心となっていました(※10)。しかし、必要な知識や技術、ツールなどの選択肢も徐々に増えてきたこともあり、現在では、様々な規模の企業で実際に導入及び運用されてきています。前述のWoodcock氏の活動等を通じて、医薬品品質に対する業界の理解も深まってきていますが、同氏は依然やるべきことがあると考えています。

「医薬品の品質とは「利用への適合度「Fitness for Use」であると定義したのは随分と昔のことなんです」とPharmaceutical Onlineの記事(※11)でWoodcock氏は述べています。「つまり、パッケージに記載された効能を提供し、汚染などが起きていない状態を意味しています。その点を除いた場合、製造における品質とは何を意味すると思いますか?それこそが、私たちが重視するものなのです。現在、多くの業界では良質な製品提供と引き換えに膨大な廃棄も実施されており、その量は製品全体の35%にも及ぶと言われています。このような数値を見てしまうと、必ずしも高品質な製造プロセスであるとは言えないと感じているのです。その為、「製造プロセスに使用すべき基準とは何か?」という質問を業界全体に対して投げかけてきました。」

重要な点の一つは、FDAやEMAなどの規制当局が医薬品の開発や生産に対して、「リスクベースアプローチ及びQbD」を盛り込むことを支持しているという点です。 日米EUが参加している医薬品規制調和国際会議のガイドラインでも、QbDはQ8~Q11に触れられており、それぞれ異なる観点から内容を説明しています。その為、まだ検討すべき要素が残るケースもありますが、業界としては、QbDは明らかに定着したものとなっています。

References
1. The High Price of Failed Clinical Trials: Time to Rethink The Model https://www.clinicalleader.com/doc/the-high-price-of-failed-clinical-trials-time-to-rethink-the-model-0001. Accessed October 18, 2017.
2. QbD: Improving Pharmaceutical Development and Manufacturing Workflows to Deliver Better Patient Outcomes http://www.pharmtech.com/qbd-improving-pharmaceutical-development-and-manufacturing-workflows-deliver-better-patient-outcomes. Accessed October 25, 2017.
3. Quality by Design Part 1: You Can’t Design Something You Don’t Understand https://www.mastercontrol.com/gxp-lifeline/quality-by-design-part-1-you-can't-design-something-you-don't-understand. Accessed October 19, 2017.
4. ICH Q8 (R2) https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/ucm073507.pdf. Accessed October 16, 2017. 
5. The concept of pharmaceutical quality, Janet Woodcock, American Pharmaceutical Review, 2004.
6. Juran’s Quality Handbook, Joseph Juran and A. Blanton Godfrey, McGraw Hill, 1999.
7. Active Pharmaceutical Ingredients: Development, Manufacturing, and Regulation, Second Edition, Stanley Nusim, Taylor & Francis Group, 2010.
8. Final Report from the FDA-EMA pilot program for the parallel assessment of quality-by-design elements of marketing applications https://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/Manufacturing/ucm552716.htm. Accessed October 23, 2017.
9. Understanding Pharmaceutical Quality by Design https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4070262/. Accessed October 16, 2017. 
10. Is Quality by Design Just for Big Pharma? https://www.mastercontrol.com/gxp-lifeline/quality-by-design-just-for-big-pharma. Accessed October 23, 2017.
11. Janet Woodcock’s Quality Agenda at CDER https://www.pharmaceuticalonline.com/doc/janet-woodcock-s-quality-agenda-at-cder-0001. Accessed October 23, 2017.

著者のご紹介
Beth Pedersen Staff Writer,MasterControl Inc.

University of Wisconsin-MadisonにてLife Sciences Communicationの学士号及びIT University of CopenhagenでDigital Design and Communicationの修士号を取得後、MicrosoftやNovell、NetIQ、SUSE、Attachmateにて、企業ソフトウェア領域における技術文書及びマーケティング用資料の執筆を担当、現在はマスターコントロール本社にてコンテンツマーケティングのスペシャリストとして活躍しています。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

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