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製薬業界におけるQuality by Design(QbD)とは?【前編】|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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製薬業界におけるQuality by Design(QbD)とは?【前編】

2019-05-22

Quality by Test という考え方が過去のものとなりつつあります。前臨床試験を終えた段階から実際に上市を実現できるのは1/10程度と言われており(※1)、製薬メーカーは、品質の確保及びリスク管理を目的とする手段を講じることは必然と言えます。

Quality by Design(QbD)とは、ライフサイエンス業界において重要な意味を持つトピックであり、製薬メーカーによるQbDの普及が示す通り、そのメリットについては疑問の余地がありません。

PharmTechに最近掲載された製薬業界のQbDに関する記事(※2)には、「後期段階における品質分析は、低品質な製品の検出及び隔離に限定されたものであり、そのような状況を防止するものではないことが課題です。現代における医薬品の複雑化を踏まえると、品質設計を初期の段階から導入し、患者の安全性を確保することがこれまで以上に重要となっています」と述べています。

医薬品に対するQbD導入の動きが高まるなか、FDA等の規制当局では、主要概念や用語、期待に関する共通認識に対する取り組みが行われています。そのような状況を踏まえ本稿では、製薬業界におけるQbDと、その主要要素に関する現在の理解を概説します。

製薬業界におけるQbDの定義
製剤の設計及び開発に医薬品品質を取り入れていくためには、まず製剤品質の定義を確立することから始めますが、多くの業界用語がそうであるように、コンセンサスに到達することは非常に困難です。一般用語における品質とは、科学的に導かれた製品及び工程のパフォーマンス目標であり、バッチ内及びバッチ間でのバラツキが最小限であることと定義することができます(※3)。より製薬業界特有なものとして、ICH Q8では品質を原薬または製剤の用途に対しての適合性が定義されています(※4)。FDAの医薬品評価研究センター(CDER:Center for Drug Evaluation and Research)にてディレクターを務めるJanet Woodcock氏は、微妙なニュアンスを追加したコメントをしており、高品質の医薬品とは汚染がなく、ラベル上に記載される治療効果を消費者に確実にもたらすものという定義を紹介しています(※5)。

開発及び製造方法で用いられてきた実証に基づく従来の手法とは異なり、QbDでは科学的見地に基づくリスクベースアプローチを採用しており、最も初期の段階から製品に品質設計を導入することにより、品質不良の発生を防止すること、また、万が一品質不良が発生した場合にも速やかに対応できる体制を整えることにフォーカスするものとなっています(※6)。また、企業によってもQbDの解釈は様々なで、その導入に関してもバラツキがあります(※7)が、医薬品の重要な品質特性に関連する製造工程のあらゆる側面を最大限に理解し管理することであるという点(デザインスペースの考え方)は変わらないと言えます。より安全でより効果的な製品を実現することに加えて、QbDはデザインスペースに規制上の柔軟性も提供している為、直接的に企業の費用対効果にも貢献していると考えることができます。

これらの定義に共通していることは、信頼性の高い安全性及び有効性に繋げようとしている点であり、より良い治療にも結果的に繋がる為、患者及び製薬メーカーに明確なメリットが提供できるという点です。このように、医薬品メーカーのQbDに対する疑問とは、なぜQbDが必要なのかという点ではなく、その手法に関する内容が中心となっています。

5つの主要要素
QbDの背景にある理論と導入メリットを理解することは、導入実現に向けての重要なステップです。また、理論と運用の違いに存在するギャップを埋める為、ICH Q8及び他の文献には導入に向けた確実な出発点が示されています。下記に、QbDプログラムの主要要素を示します(※9)。

1. 目標製品品質プロファイル(QTPP):製剤の重要品質特性(CQA)の特定
QTPPとは、剤形やデリバリーシステム、有効性成分含量といった最終製剤の包括的な品質目標の要約であり、その医薬品に対する品質基準(無菌性や純度、安定性、薬剤徐放等)から構成されます。CQAは、完成製剤(またはアウトプット物質)の特性(理学的、化学的、生物学的、または微生物学的な性質または特長、ならびに規格限界、範囲または分布)であり、その製品品質に影響を及ぼすものであることから、医薬品及び工程の開発の確立に用いられます。また、QTPPから派生する場合や、既存の知識といった他の情報源から導かれる場合もあります。

2. 重要物質特性(CMA):製品設計及び理解(CMAの同定を含む)
従来のQbDは「プロセス」の設計や理解、管理を中心とした内容でしたが、医薬品自体に対する同様のポイントも重要であり、製品が患者のニーズを満たすことができているか、そのライフサイクルにおいてパフォーマンスを維持できるかを最終的に判断するものです。このように、投入物質(input material)も、理学的、化学的、生物学的、または微生物学的な性質または特長を含む重要な特性(及び規格限界、範囲または分布)の決定によって説明されるものとなります。

後編では主要要素の残り3点からQdBの未来への考察をご紹介いたしますので、お楽しみに!

References
1. The High Price of Failed Clinical Trials: Time to Rethink The Model https://www.clinicalleader.com/doc/the-high-price-of-failed-clinical-trials-time-to-rethink-the-model-0001. Accessed October 18, 2017.
2. QbD: Improving Pharmaceutical Development and Manufacturing Workflows to Deliver Better Patient Outcomes http://www.pharmtech.com/qbd-improving-pharmaceutical-development-and-manufacturing-workflows-deliver-better-patient-outcomes. Accessed October 25, 2017.
3. Quality by Design Part 1: You Can’t Design Something You Don’t Understand https://www.mastercontrol.com/gxp-lifeline/quality-by-design-part-1-you-can't-design-something-you-don't-understand. Accessed October 19, 2017.
4. ICH Q8 (R2) https://www.fda.gov/downloads/Drugs/Guidances/ucm073507.pdf. Accessed October 16, 2017. 
5. The concept of pharmaceutical quality, Janet Woodcock, American Pharmaceutical Review, 2004.
6. Juran’s Quality Handbook, Joseph Juran and A. Blanton Godfrey, McGraw Hill, 1999.
7. Active Pharmaceutical Ingredients: Development, Manufacturing, and Regulation, Second Edition, Stanley Nusim, Taylor & Francis Group, 2010.
8. Final Report from the FDA-EMA pilot program for the parallel assessment of quality-by-design elements of marketing applications https://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/Manufacturing/ucm552716.htm. Accessed October 23, 2017.
9. Understanding Pharmaceutical Quality by Design https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4070262/. Accessed October 16, 2017. 
10. Is Quality by Design Just for Big Pharma? https://www.mastercontrol.com/gxp-lifeline/quality-by-design-just-for-big-pharma. Accessed October 23, 2017.
11. Janet Woodcock’s Quality Agenda at CDER https://www.pharmaceuticalonline.com/doc/janet-woodcock-s-quality-agenda-at-cder-0001. Accessed October 23, 2017.

著者のご紹介
Beth Pedersen Staff Writer,MasterControl Inc.

University of Wisconsin-MadisonにてLife Sciences Communicationの学士号及びIT University of CopenhagenでDigital Design and Communicationの修士号を取得後、MicrosoftやNovell、NetIQ、SUSE、Attachmateにて、企業ソフトウェア領域における技術文書及びマーケティング用資料の執筆を担当、現在はマスターコントロール本社にてコンテンツマーケティングのスペシャリストとして活躍しています。

本投稿は、英語の文献を元に翻訳または抄訳及び校正を行っており、本サイトに掲載されている全ての情報や画像の著作権は、当社(マスターコントロール株式会社)に帰属します(他社提供のクレジット表記入り画像等を除く)。コンテンツの再発行及び再配布は、個人利用の場合を除き、当社より許可を得た場合のみ可能です。また、本ブログを含む当社のWebコンテンツを利用することで発生する損害やトラブルについて、当社は一切の責任を負いません。

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