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電子記録・電子署名のFDAドラフトガイダンス:次なる章【前編】|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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電子記録・電子署名のFDAドラフトガイダンス:次なる章【前編】

2019-10-04

製薬業界に関わっている方であれば、21 CFR Part 11、いわゆる「Part 11」と呼ばれるものを耳にしたことがあると思います。1997年8月に発効された規則であり、米国食品医薬品局(以下、FDA)は2003年に“Guidance for Industry - Part 11, Electronic Records; Electronic Signatures — Scope and Application” と呼ばれる業界向けガイダンスを発表しました。Part 11が作成された当初は、FDA内の小さな組織で検討されていましたが、業界におけるビジネス環境の変化を踏まえ、電子署名や電子データの在り方というものが、最新のテクノロジーや複数地域での運用を考慮した内容へと変貌を遂げています。その為、文書管理は、紙ベースから、臨床・研究センターに及ぶ電子記録をサポートするダイナミックな統合システムに移り変わりました。また、医療の提供も、従来の領域を超えて数年前までは実現できると思われていなかったクラウドベースのプラットフォームにまで進化を遂げています。
 
そして、FDAによる正式な更新から10年以上が経過し、“Use of Electronic Records and Electronic Signatures in Clinical Investigations Under 21 CFR Part 11 – Questions and Answers” というタイトルのドラフトガイダンスが発表されました。FDAは、業界の様々な団体や企業から収集した意見や、テクノロジーの発展を考慮し、ドラフトのガイダンスを作成しました。ただ、個人的には、実際の査察時に明確にする必要がある状況をFDAは認識していたので、そのようなアプローチを取っていたと推測しています。いくつかの重要な点が他の規制機関によっても指摘されています。電子カルテシステム( Electronic Health Records 以下:EHR)のインセンティブとFDA申請の完全電子化の義務化は、医療の提供と文書化のガイドとなるデジタル化情報の必要性を牽引してきたところが大きいと言えるでしょう。このステップを踏むことは、対応する電子システムを確かなものにしようとするFDAの意図を示しているのです。
 
ドラフトガイダンスには、以下を含む個別カテゴリーの28のQ&Aが含まれています。
  1. 試験依頼者及び他の規制対象企業が所有または管理する電子システム
  2. 外部委託電子サービス
  3. 主に医療提供に使用される電子システム
  4. モバイルテクノロジー
  5. 通信システム
以下は、電子署名に焦点を当てたドラフトガイダンスの個別セクションに関するコメントを含む、いくつかの分野に関する所見です。
 
医療機関の管理: 業界の流行語
臨床試験など治験業務が受託機関で行われるようになり、業界ではそれら治験に関わる医療機関の管理をどのようにすべきかの定義づけが重視されています。技術的な取組みには差がないため、説明責任の確保を目的とした計画書の作成と管理が、電子システムにも適用されていくものと思われます。本ガイダンスでは、FDAの要件及びコンプライアンスとは何かが示されています。
 
医療システムとモバイルテクノロジーの定義
ガイダンスで大幅に明確化された事項の1つがEHRのPart 11対象からの除外です。過去にも定義されましたが、要件を繰り返すことによってその点が強調されています。ただ、コメントを見る限り、まだ業界団体や企業によって、この解釈が統一されていない点も触れられています。その為、最終ガイダンスでは、EHRがPart 11に該当するか否かを明確にする必要があると思います。
 
クラウドベースのプラットフォームへのアクセスは、管理する組織、すなわち治験依頼者もしくはCROなどによって管理されます。作成、実行、記録といった複雑なものではありませんが、個人のデバイスがデータ収集に使用されている臨床研究サイト(別名:BYOD - bring your own device)では、問題が存在しています。デバイスのアクセスが特定の患者に限定されていることを管理し文書化することは、ほぼ不可能だからです。Society for Clinical Research Sitesの会長であるChristine Pierreは、「試験参加者が証明書に署名していない場合でも、FDAがデータを拒絶する姿勢であるとは思えない」と述べています。現状の運用のとおり、署名の有無にかかわらず、データは有効であるとみなされ、分析の対象となります。電子患者報告アウトカム(ePROS)では、このモデルを長年に渡り使用されていると思われますが、査察の所見で、このような事態の発生に対する懸念が言及されていたたことがあるのか、今一度考えてみるべきです。
 

本記事は二部構成の前編です。後編は数週間以内に公開いたしますので、お楽しみに!​

著者のご紹介
Betsy Fallen
BAFallen Consulting LLC 
医薬品開発における業務プロセス及び情報テクノロジー使用の知識を用い、ライフサイエンス事業の電子化に貢献、医薬品開発の多領域に詳しい専門家として評価される。Merck社にて20年以上従事し、現在は、コンプライアンスの確立に取り組むスポンサー、ベンダー、及びクリニカルサイトのサポートを行うコンサルティング業務を行う。技術革新、プロセスの効率化、及びドキュメンテーションの実施及び監視におけるコンプライアンスの評価と徹底への取り組みに関する知識の共有に取り組む。
RNとしての資格も持ち、患者の声に耳を傾け、医薬品開発プロセスの革新と効率化を推進し続けている。

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