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電子記録・電子署名のFDAドラフトガイダンス:次なる章【後編】|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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電子記録・電子署名のFDAドラフトガイダンス:次なる章【後編】

2019-11-18

本記事は連載企画の後編です。前編をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。

医療システムとモバイルテクノロジーの定義
ガイダンスで大幅に明確化された事項の1つがEHRのPart 11対象からの除外です。過去にも定義されましたが、要件を繰り返すことによってその点が強調されています。ただ、コメントを見る限り、まだ業界団体や企業によって、この解釈が統一されていない点も触れられています。その為、最終ガイダンスでは、EHRがPart 11に該当するか否かを明確にする必要があると思います。

クラウドベースのプラットフォームへのアクセスは、管理する組織、すなわち治験依頼者もしくはCROなどによって管理されます。作成、実行、記録といった複雑なものではありませんが、個人のデバイスがデータ収集に使用されている臨床研究サイト(別名:BYOD - bring your own device)では、問題が存在しています。デバイスのアクセスが特定の患者に限定されていることを管理し文書化することは、ほぼ不可能だからです。Society for Clinical Research Sitesの会長であるChristine Pierreは、「試験参加者が証明書に署名していない場合でも、FDAがデータを拒絶する姿勢であるとは思えない」と述べています。現状の運用のとおり、署名の有無にかかわらず、データは有効であるとみなされ、分析の対象となります。電子患者報告アウトカム(ePROS)では、このモデルを長年に渡り使用されていると思われますが、査察の所見で、このような事態の発生に対する懸念が言及されていたたことがあるのか、今一度考えてみるべきです。

ペーパーレスの実現手段:電子署名
ドラフトガイダンスのもう一つの重要な側面として、電子署名(すべてのタイプ)を扱っている点があげられます。電子署名は、グローバルな参加とトランザクションの適時性において重要なツールであり、ペーパーレスプロセスに移行する際の最も重要な要素となります。これまで電子署名の検証には焦点が当てられていなかったかもしれませんが、それは今後変化すると考えられます。Q&Aでは、コンプライアンス対応を確認するうえで、FDA査察官がどのように組織にアプローチするかについて言及しています。FDA向けの文書における電子署名の使用と検証は、文書管理の専門家による活発な議論のポイントとなるでしょう。

SAFE-BioPharma Association6 等のデジタル証明書管理の標準か団体では、ドラフトガイダンスで詳述されるFDAの要件に沿ったポリシーを作成しています。SAFE-BioPharmaのメンバーは、こうしたポリシーを厳守することでコンプライアンスと査察準備体制の整備に対応できることを確信しているようです。

共通のテーマ:安全なID管理とリスクベースの徹底
ドラフトガイダンス全体を通じてセキュリティの話題を取り上げていることから、それが優先的なトピックとなっていることは明らかです。最近のサイバーセキュリティー違反やHIPAA法(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法令)違反は、ヘルスケア業界全体で問題とされており、セキュリティに関する要件が、複数のセクションで定義されています。財政情報、個人情報(PII)と保護対象医療情報:personally identifiable information(PHI) の収集及び記録には、個人情報の窃盗、プライバシー侵害などのリスクが伴います。これには倫理的な懸念と同時に法的な懸念も絡んできます。不慮の情報流出やアクセス、ならびに不正なアクセスやデータ入力のリスク低減に必要な措置が講じられていることをFDAは期待しています。

他の分野の研究を反映して、リスクベースアプローチの概念は、技術の体系化における留意事項とすることが推奨されています。すべてのシステムのどの部分も同じ重要性を有しているわけではありませんから、最も重要な側面に時間を費やすべきです。かつては、すべてにおいて常に100%完璧でなければならないという考えがあったものです。幸い、最重要とみなされるシステム、プロセス及びサービスにリソースを割り当てることにより、優れた患者ケアの提供や質の高い試験結果の達成によりフォーカスすることができます。

今後の期待
これは、過去十数年間でもたらされた技術革新と重なる非常に重要なロードマップです。査察で予想されるエビデンスの生成に対するFDA要件の明白な概念がQ&Aに示されています。FDAが本ガイダンスを提案したことにより、個々の査察官の解釈にも若干の整合性が得られる見込みです。一方、電子記録に関する最後のガイダンス以降の技術には目覚ましい進展を成し遂げてきました。その間に、解釈は、時には同時に、相違が生まれたり重複したりしてきたのです。これは課題であり、業界がこのドラフトガイダンスにリファレンスをつけている間にも、明白な最終ガイダンスが発表されるかもしれません。私はそれを期待しています。

本論文は、最初は2017年10月26日にClinical Leaderに投稿されたものです(掲載許可取得済)。

著者のご紹介
Betsy Fallen
BAFallen Consulting LLC
医薬品開発における業務プロセス及び情報テクノロジー使用の知識を用い、ライフサイエンス事業の電子化に貢献、医薬品開発の多領域に詳しい専門家として評価される。Merck社にて20年以上従事し、現在は、コンプライアンスの確立に取り組むスポンサー、ベンダー、及びクリニカルサイトのサポートを行うコンサルティング業務を行う。技術革新、プロセスの効率化、及びドキュメンテーションの実施及び監視におけるコンプライアンスの評価と徹底への取り組みに関する知識の共有に取り組む。
RNとしての資格も持ち、患者の声に耳を傾け、医薬品開発プロセスの革新と効率化を推進し続けている。

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