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510(k)は無意味なのか?〜訴訟事例から考える〜|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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510(k)は無意味なのか?〜訴訟事例から考える〜

2020-01-06

裁判所が510(k)に関する解釈を再検討すべきです

510(k)対象の医療機器に対するFDA審査には、安全性と有効性に関するレビューが含まれているのでしょうか?FDAは、「含まれている 」と回答しています(p. 44)。医療機器メーカー及びこの領域で働いている私たちは、このプロセスがどれほど煩雑で、どれほど多種多様な領域なのかを認識しています。まず、FDAの審査では、広範に及ぶ非臨床安全性・有効性データを医療機器メーカーが提出する必要があります。そして、医療機器のタイプによっては、FDAが臨床データを求める場合もあります。 

しかし、連邦裁判所は510(k)プロセスを無意味なものとして解釈しているようです。最も新しい事例としては、Johnson & Johnson (J&J)社のTVT-O経膣メッシュに対する訴訟があり、裁判所は、510(k)ではTVT-O経膣メッシュの安全性を考慮していないと主張しました。そして、330万ドルの陪審評決からの上訴に対し、第4巡回区控訴裁判所はその判決を支持、移送命令申立て書が最高裁判所に提起され、Advanced Medical Technology Association(AdvaMed)及びProduct Liability Advisory Council(PLAC)より意見書が提出されました。

裁判所の510(k)に対する見解の原点とはいったい何なのでしょうか? 1982年に認可した医療機器に対する製造物責任に基づく請求*1にて、最高裁判所は、510(k)及び同等の審査は非常に限定的であると述べています。 この判例における根本的な問題は、裁判所が510(k)の変化を見落していたという点です。 510(k)は、当初は暫定的な適用免除規定でしたが、数十年にわたって医療機器を市場に送り出すための主要な規制上の道筋となったのです。

510(k)は、1990年の重要な法令の改正と、ここ数十年にわたる広範囲な行政上の変化の両方を経てきています。最高裁判所の510(k) に関する見解は、1982年当時は有効であったと理解できますが、現代に適用するのは時代遅れであると思います。法的にも事実的にも、510(k)には、安全性と有効性の審査が含まれており、裁判所がそれを否定してしまうこと、そして、その審査にFDAが費やす時間は平均20時間程度でしかないとの主張は、単なる誤認にすぎません。

連邦裁判所は、現在でも510(k)が1982年以降変わっていないかのように扱っており、毎年、そのような事例を見てきています。現状としては、最高裁判所がTVT-O事例(または類似する別の事例)の見直しを認めない限り、大きな変化は期待できないと思います。一方で、その考え方に変化が起きれば、510(k)の審査プロセス及び訴訟における510(k)の役割について、裁判所もより的確な対応ができるものと考えています。TVT-O事例のように、政府が自ら定めた規制に対する重大な誤解に基づいて、明らかに関連するエビデンスが裁判で除外視されることは、被告にとっても公正ではないと言えるでしょう。

この問題は、ずいぶんと前に解決すべき裁判所の課題である一方、現代でも未解決のまま、存在し続けてしまっている重要な課題であると私たちは思っています。

※参照
1: Medtronic v. Lohr, 518 U.S. 470, 479 (1996)
https://supreme.justia.com/cases/federal/us/518/470/case.html
 

著者のご紹介
Jeffrey K. Shapiro

医療機器を専門とし、企業のFDA薬事法コンサルティングに20年以上従事。薬事承認申請、MDR及びPart 806報告義務、ラベリング、広告、リコール、Form 483及びWarning Letter(警告書)対応を含む、医療機器に関するFDA規制に豊富な経験を有す。Shapiro 氏は、IVDやHCT/Pに適用されるFDAの要求事項についてのリーガル・アドバイスも行う。RFDの準備を含むコンビネーション製品に係るFDA規制の専門家でもあります。小・中・大規模の医療機器メーカーの顧問として、コンプライアンスの管理及び薬事戦略の構築に係る事実上および財務上の問題を広く認識。

 

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