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GxP教育を再考する|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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GxP教育を再考する

2021-04-16

バイオ医薬品業界において、GxP教育は必要不可欠であり、その内容が常に最新で、自社の目標に沿っているかを確認するには、組織変革管理(OCM:Organizational Change Management)戦略が有効です。OCMとは、簡単に言えば、関係者が変革に関わり、それに対する投資が期待する成果に導く確率を向上する為に用いられる手法です。GxP教育における成果とは、法規制で求められる教育がGxP業務に関わる全ての担当者に対して、定期的に適切に実施されていることを意味しています。

バイオ医薬品業界では、GxP教育は何十年も前から必要とされており、毎年多くの企業で教育資料等を再利用し、教育を実施されているかと思います。しかし、その過程の中で、変革を促進し業務に新しい手法を取り込むことができるGxP教育の再構築の機会を逃している可能性もあります。

GxP教育の本題に踏み込む前に、GxPの内容及び法規制要件との関連性について、確認していきましょう。

GxPと従前規則

バイオ医薬品業界には、様々な専門用語が存在しており、GxPもそのような用語の一つです。本項の内容は、既にご存知の方にとっては復習となり、新しく担当される方にも向けて執筆しておりますので、お役に立てれば幸いです。

まず、GxP教育について理解する上で、GxPの意味を正しく理解することが重要です。

  • G = Good(良い、適正、優良)
  • X = Clinical(臨床)やManufacturing(製造)またはLaboratory(試験施設)に置き換えられる
  • P = Practice(基準)


一般的には、GxPという言葉は、FDA(米国食品医薬品局)が制定したCFR(Code of Federal Regulations)と呼ばれる規制(法律)を指しており、その中で以下の規則は従前規則と分類されています。

  • Good Clinical Practice (GCP) - 臨床試験のための要求事項
  • Good Manufacturing Practice (GMP) - 製品製造に関する要求事項
  • Good Laboratory Practice(GLP) - 研究施設に対する要求事項


従前規則は、ライフサイエンス業界における様々な義務を規定しており、この内容に従ってFDAは査察を実施し、違反が確認された場合、483や警告書が発行されます。

また、CFR(連邦規則集)のタイトルは50まで構成されており、各規則の名称は、チャプターとパート、セクション、パラグラフから付けられています。例えば、21 CFR 312.2(a)であれば、21がタイトル、312がパート、2がセクションで、パラグラフは(a)となります。

  • タイトル(CFR)の21章は医薬品及び食品向け
  • チャプターの200-300は医薬品向け
  • パートやセクション、パラグラフに各分野の詳細な要件が記載


一部の法規制は内容が非常に細かい為、それを理解し、適切に対応するには、一定の時間を要するかもしれません。

また、これから担当される場合、まずは、ご自身の役割や分野に関係する規則から読み始めることをお勧めします。また、過去に読んだことがある場合でも、自身の業務に関係する変更点を継続的に追いかけることも重要です。また、急を要する際は迅速に対応すべきですが、変更点は導入の検討段階で把握できることが理想です。

連邦規則と教育

連邦規則は法律ですので、スポンサーや治験責任医師、治験審査委員会(IRB)、独立した倫理委員会等は、これらを遵守する義務があります。その為、教育や過去の経験により適切な知識や経験を有する人材を従事させ、また、継続的な教育の実施も求められており、CFRにも、下記の例のような記載があります。

21 CFR 312.53 治験責任医師とモニターの選定

  • (a) 治験責任医師の選定

治験依頼者は、その医薬品を調査する適切な専門家として、訓練と経験により資格を有する治験責任医師を選定しなければならない。

  • (c)(2) 履歴書

治験責任医師の履歴書または他の資格証明書で、治験責任医師が調査対象となる用途の医薬品の臨床試験の専門家としての資格を有する教育や訓練および経験を示している。


GxP業務と教育の機会

役割によっては、GxPに関わる業務を担当する場合があり、この場合のGxP業務とは、法規制としての従前規則に関わる業務を示しています。企業によって教育の管理方法は異なりますが、GxPにて求められる責務は、GxPの教育プログラムの対象となるポリシーや標準業務手順書(SOP)に含まれています。

例えば、治験実施計画書の作成や臨床試験のモニタリング等であり、GxPの教育プログラムを構築する際に網羅すべきトピックの一つです。また、年次の再教育や手順も策定すべきです。そして、企業の事業内容や多様性に合わせて、採用時点の専門性だけに依存せず、業務を遂行する上で必要な知識や経験を担当者に提供できる幅広い教育プログラムを策定する必要があります。

GxP教育は、ルーティンのように実施されているケースもありますが、新しい技術や手法、業務を導入するということは、規則を再確認し、自分たちが行うことの重要性を再認識する機会になるかもしれません。このような機会における再教育を通じて変化を促進し、現在、多くの企業で推進しているビジネス・トランスフォメーションと従業員を繋げることができます。

GxP教育とOCM

本稿の内容の大半は、長年、この業界に携わられている方にとっては「過去の話」や「常識」と思われるかもしれませんが、現在、バイオ医薬品業界に起きている急速な変化については注視すべきです。

また、未来学者のAlvin Toffler氏は、一定の頻度で実施するような再教育は過去の物となり、企業としての成功を収めるには、次のような点を押さえた人員で組織を構成する必要があると述べています。

「21世紀における無知・無教養とは、読み書きができない人ではなく、学ばない、学ぼうとしない、復習しない人のことを示すようになるでしょう。」

自社に必要となる全てのトピックを網羅するには、現在の教育プログラムをより強固な物にアップグレードする必要があるかもしれません。年に一度の簡単な再教育では不十分なケースもあり、自社の変更管理の計画に沿った包括的な教育プログラムや戦略が必要です。また、教育のアプローチやコンテンツの形骸化や陳腐化は注意すべき課題であり、時代遅れのような状態は避ける必要があります。

このようなポイントを押さえることで、今日のバイオ医薬品企業は法規制を遵守し、かつてないほど急速に起こっている変化や変革に備えることができます。

Peter Senge氏は、自書「The Fifth Discipline: The Art and Practice of the Learning Organization(5つの法則:学習する組織の実践)」の中で、理想的な組織とは、「人々が心から望む結果を生み出せる能力を継続的に拡大し、新規創出や既存拡張を考えるマインドを形成し、組織全体を共に見ることを継続的に学んでいる組織」であると表現しています。

業界の未来やGxPを包括的に考慮することは、新規及び既存の法規制に対して、組織を適切に維持する為の基本です。世界は急速に変化していますが、新型コロナウイルスの経験も踏まえ、GxPの全体的な理解と規則の遵守を維持しながら、常に未来を見据え、適応性と俊敏性を持つことの重要性を改めて認識することができるはずです。

GxP教育は、急速な業界の移り変わりに対応する為、担当者の関わりの強化と、組織としてのコンピテンシーを向上できる可能性が秘められています。その利点を最大限に活用する為、今からでも準備を始めていきましょう。

 

著者のご紹介
Nancie Celini

Nancie Celini(DrPH)は、40年間、バイオ医薬品業界に携わってきており、テクノロジーや教育、プロセスの改善、イノベーションを通じて変化を起こしている人々に今でも刺激を受けています。公衆衛生や医薬品、レギュラトリーサイエンス、政策、テクノロジー、教育についてのコメントやさらなる議論の為、電子メールにてご連絡をお待ちしています。

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