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連邦食品医薬品化粧品法や消費者保護以前の暮らしとは|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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連邦食品医薬品化粧品法や消費者保護以前の暮らしとは

2021-05-07

1937年、ある薬を服用した為、100人以上の方々が命を落とす事態が発生しました。ある有名な薬の液体版として調合された「エリキシール・スルファニルアミド」は、味や外観、香りなどは試験されましたが、安全性は確認されず9月に最初のロットが出荷、10月には最初の死者が発生しました。しかし、この件で最も衝撃的だったのは、この企業は違法行為を行なっていなかったという点でした。その当時、安全性に関する法律はまだ制定されていなかった為、FDA(米国食品医薬品局)が製薬企業に課すことが出来た唯一の罰則は、製品の不当表示のみでした。*¹

しかし、この悲劇が発生する以前から、新しい法律が必要であることは、一般にも認識されていました。防ぐことができたにも関わらず、このように多くの人々の命を奪う事態となったことが法律制定の必要性に繋がり、1938年、ルーズベルト大統領が連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)に署名し、法律が制定されました。

FD&C法の制定以前

スルファニルアミド事件の原因については、政府にとって、新しい課題や未知の内容ではありませんでした。また、このような問題は医薬品に限ったことではなく、1906年に発刊されたアプトン・シンクレアの小説「ジャングル」がシカゴの食肉加工工場の不衛生な環境を描き、大きな反響を呼びました。その為、1906年に「純正食品医薬品法」が制定され、食品や医薬品の表示、純度や分量の基準適合が義務化されたことで、一歩前進しました。しかし、この法律は規制当局に立証責任を課しており、企業が消費者を欺こうとしている点を証明しない限り、企業側に対して対処することが出来ませんでした。*²

危険性のある製品が販売されているにも関わらず、FDAが排除できる権限を有していなかった点から、新しい法律の必要性は明確でした。

  • ジニトロフェロール:抗肥満薬として販売されたが、致命的な血液障害や白内障等の深刻な副作用が発生した。また、1906年に制定された法律では化粧品は対象外であった。
  • コレムル:脱毛剤として開発されたが、殺鼠剤が含まれており、神経筋障害や呼吸器障害、失明等が発生、26歳の女性には歯や視力、歩行障害が発生したとの報告もあった。
  • ラッシュルアー:化粧品であったが、眉毛やまつ毛の脱毛や視力障害、失明等を引き起こす毒性のある染料が使用されていた。
  • オティネ:水銀を使用して肌のシミを取り除く化粧品であったが、骨の劣化や歯の喪失、神経障害、肺機能障害、腎障害等の副作用が発生した。*³


上記は、FDAが消費者に対して警告していたにも関わらず、市場からは排除できなかった製品の一例です。このように、欺瞞的な物から毒性を含む製品まで、様々な製品が存在していました。

ラズベリー味の不凍剤

様々な剤形を試すことは悪いことではありません。錠剤を飲み込むことが苦手な方や子どもには、より簡単に薬を飲むことができるようになるかもしれません。しかし、本稿をご覧になられている皆様であれば、このように製品のデザインを変更することは、多くの文書や記録を追加で作成しなくてはいけない点など、容易ではないことをご存知と思いますが、1937年当時の開発プロセスは少し異なっていました。

S.E.マッセンギル社では、溶連菌感染症の治療薬であるスルファニルアミドには液剤の需要があると、営業担当から報告がありました。その為、同社の化学者兼薬剤師のワトキンスがスルファニルアミドをジエチレングリコールに溶かしてラズベリー風味を添加した後、味や香り、外観をテストした後、製品を出荷しました。ワトキンスは、ジエチレングリコールは不凍液であり、毒性があることを認識していませんでした。しかし、前述の例が示す通り、この製品が毒性を含む最初の製品ではなく、また、死亡事故に繋がったケースとしても初めてではありません。

しかし、結果として、連邦食品医薬品化粧品法を議会に押し上げることに繋がり、上述の通り1938年6月25日に、ルーズベルト大統領がこの法案に署名し、法律として制定されています。同法の制定により、医療機器と化粧品に対する権限や医薬品の市場前承認や安全性の証明、誤った治療法の主張の禁止といった権限と執行力がFDAに付与されました。その後、同法の改正等を通じて、現在のFDAが保有している権限等(薬の安全性の証明を求める等)に繋がっています。

結論

人々は指示されることや規則に縛られること、権力者に従うことを嫌う傾向がありますが、当局や規制は必要であり、FD&C法もその中の一つです。1938年以前は私たちは命と引き換えに製品を購入するような時代と言っても過言ではありませんでした。しかし現在は、安全性や有効性に関する試験が実施され、パッケージの外に購入する製品の情報が成分量等として記載され、その内容に基づいて、消費者は医薬品を購入していることを知っています。そして、新型コロナウイルスに対するワクチンについても、同様の信頼に基づいて、接種が進んでいます。

新型コロウイルスのワクチンは、これほどに早く開発され、FDAの承認も非常に早かったことは驚きでした。テクノロジーの発展に伴い、FDAはその利用を受け入れ、推奨してきたことが影響しているかもしれません。結果として、患者様の安全を優先しながら、紙運用では不可能であったスピードで業務を推進することが可能となったからです。テクノロジーの発展、特にクラウドコンピューティングと高度な分析技術は、企業が法令を順守しながらスピーディーに開発できる環境の確立に貢献しています。

参照

  1. Sulfanilamide Disaster,” Carol Ballentine, U.S. Food and Drug Administration, June 1981.
  2. 80 Years of the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act,” U.S. Food and Drug Administration, July 11, 2018.
  3. Supra note 2

 

著者のご紹介
Sarah Beale

ユタ州ソルトレイクシティーにあるマスターコントロールのコンテンツマーケティングスペシャリストで、ホワイトペーパーやウェブサイト向けコンテンツを執筆しています。栄養補助食品を含む食品産業を専門とし、5年以上にわたり、ライフサイエンス及びヘルスケアに関する執筆を担当しており、弊社入社前は、ソルトレイクシティーの栄養補助食品会社に勤務し、それ以前はシカゴの第三者機関ヘルスケアアドミニストレーターに勤務していました。Brigham Young Universityで英語の学士号を、DeVry Universityで経営学の修士号を取得しています。

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