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医療機器に対する臨床試験の進化:法規制変更への対応|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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医療機器に対する臨床試験の進化:法規制変更への対応

2021-08-11

画期的な技術の登場により、医療機器の定義も変わりつつあります。このような大きな変化は、医療機器に対する臨床試験の発展を要しており、ウェアラブルやSaMD(医療機器としてのソフトウェア)、他の革新的な技術は、法規制の状況も変えつつあります。急速に変化しているこの状況下において、最新の法規制や規格、他の要件に準拠しながら医療機器に対する臨床試験を実施するのは容易ではありません。技術革新のスピードは、当局が臨床向けのガイダンスを提供する能力を遥かに上回っているように思いますが、この点が曖昧さを生み出しています。その為、不確実性を最小限に抑え、現時点で求められる記載要件を把握する為には、まず、医療機器に対する臨床試験と他の試験とを区別するために把握すべき特徴を確認することが効果的です。


医療機器に対するユニークな法規制

医療機器は物理的に動作する製品である為、生物学的または化学的に機能する医薬品とは異なる独自の規制が適用されます。その為、医療機器の規制要件は、医薬品と類似している点と、大きく異なる点が混在しています。下記に、医薬品と医療機器に対する臨床試験の5つの違いについてご説明いたします。

  1. 医療機器は、市販前承認(PMA)に対する試験にて十分な安全性と有効性が証明できれば、医薬品の臨床試験のように複雑な試験が不要となる場合がある。また、医療機器の場合は、クラス(リスク)によって臨床試験が不要となる場合もある。
  2. 医療機器はPMA申請を経て承認される為、一度の試験で十分となる場合が多い。
  3. 医療機器の臨床試験は、一般的に試作品の開発に重点が置かれており、用法・用量に重点を置く医薬品とは対照的な内容となっている。
  4. 一般的には、医療機器の臨床試験の長期的な要件は市販後調査によって網羅されているが、医薬品の市販後調査は、臨床試験の延長線上で第4相のような段階として位置付けられている。
  5. 医療機器に対する軽微な変更は、安全性や信頼性の向上、改良を目的として頻繁に実施されている。その為、医療機器の仕様に新たな改良が追加された場合に当局が追加の臨床試験を求めることは稀であり、他の試験(非臨床試験やベンチテスト)にて設計変更の適合性が事前に検証されていれば、当局の承認を得る必要はないと思われる。一部の医療機器の臨床試験では、臨床試験以外から情報を得ることも可能である(例えば、資格を有する専門家によって適切に文書化されたケースヒストリーが存在する場合、部分的に管理された試験で既に要件を満たしている場合など)。


医療機器の臨床試験に適用される法規制

医療機器に対する臨床試験を実施する場合、主に2つの法規制が適用されます。米国で販売または製造される機器はFDA(米国食品医薬品局)によって記載されており、グローバルの規格は、ISO(国際標準化機構)によって定められています。


米国の規制:Title 21 of the Code of Federal Regulations(連邦規則集 21章)

臨床分野における医療機器に関するFDAの規制は、連邦規則集の21章、通称21 CFRにまとめられています。この規制と要件は、医療機器に対する臨床試験を実施する際に順守が求められており、GCP(臨床試験実施基準)とも呼ばれています。

  • GCPガイドラインには、安全性と有効性に関するデータ収集を目的とした臨床試験にて、医療機器を使用することを許可するIDE:Investigational Device Exemptions(治験用機器免除)に関する要件も含まれています。
  • 試験を開始する前に、医療機器を使用する全ての臨床試験に対してIDEを取得する必要があります。
  • IDEに特化した規制である21 CFR Part 812には、医療機器に対する臨床試験を実施する為の手順が記載されており、申請やラベリング、記録、報告、スポンサー、治験責任者の責務等に関する記載が含まれています。


グローバル規格:ISO 14155

医療機器に対する臨床試験のGCPを規定したグローバル規格と位置付けられているのがISO 14155です。この規格は、医療機器の有効性や安全性を評価する為に、ヒトを対象として実施される臨床試験の内容や実施方法、記録、報告に関する原則が定められています。ISO 14155にはFDAと重複する内容が多く、医療機器に対する臨床試験の中核的な要素と位置付けられる4つの観点から規定されています。

  1. 被験者の権利や安全、福祉の保護
  2. 科学的根拠に基づいた臨床試験の実施及び結果に対する信頼性の確保
  3. スポンサーと治験責任者の責任の明確化
  4. 医療機器の適合性評価に関わるスポンサーや治験責任医師、倫理委員会、規制当局、その他の関係組織・機関*¹


2020年にISO 14155の更新版が発行され、臨床試験におけるエビデンスやデータの信頼性、安全性の向上等を重視した内容に改訂されました。また、改訂版では、ICH E6 (R2) GCPガイドラインや欧州医療機器規則(EU MDR)、ヘルシンキ宣言など、他の関連規制との整合性が高められています。

以前のISO 14155では、予防的な対応よりはリスク(課題)の特定に重点が置かれていましたが、2020年の改訂では、臨床試験をリスクベースで推進する手法が追加されました。例えば、リスク管理計画の策定が追加されており、臨床試験実施前に治験実施計画書に組み込み、製品のライフサイクル全体を通じて適用されるリスク管理計画の策定が求められています。また、医療機器の臨床試験の過程で発生した重大な不適合や機器の故障・欠陥に対して、より効果的なCAPA(是正措置・予防措置)の必要性が指摘されています。*²


医療機器に対する臨床試験の詳細

本稿でご紹介した情報は、医療機器に対する臨床試験の広範で複雑な状況の概要にしかすぎません。同分野に対するより詳細な情報は、ホワイトペーパー「医療機器に対する臨床試験の変革」をダウンロードしてご覧ください。


参照

  1. ISO 14155:2020(en): Clinical investigation of medical devices for human subjects – Good clinical practice,” International Organization for Standardization website, 2020.
  2. An ISO 14155:2020 Primer – Good Clinical Practice for Medical Device Trials,” by Sandra Sather and Jennifer Lawyer, Clinical Leader, Feb. 2, 2021.

 

著者のご紹介
James Jardine

James Jardine は、MasterControl Inc.のマーケティング・コミュニケーション担当です。ユタ大学でジャーナリズムの学士を取得しており、ユタ州ソルトレイクシティにあるマスターコントロール本社にて勤務しています。 


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