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自社のQMSにeIFUを導入する影響とは|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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自社のQMSにeIFUを導入する影響とは

2021-09-16

欧州では、埋め込み型医療機器や試験施設で使用する体外診断薬(IVD)を製造する企業は、紙の取扱説明書(IFU)を電子(eIFU)に置き換えることが可能です。医療機器に対する要件や条件は、欧州委員会規則(EU)207/2012に規定されており、IVD向けは、MEDDEV 2.14/3 (2017)に規定されています。

尚、ソフトウェアに組み込まれたeIFUや医療機器に内蔵されたeIFUは、本稿では対象外とさせていただいております。

機器の安全性において、ユーザーが必要な時に適切なIFUにアクセスできることは重要であり、eIFUに対しても厳格な規制要件が設定されています。その為、認証機関(NB:Notified Body)は、eIFUの適合状況や設計・導入内容に対して検証を実施しています。

以前の記事では、eIFUの設計認証機関の期待について執筆いたしましたので、本稿では、QMSを構成する様々な業務プロセスに対するeIFU導入の影響について、ご説明いたします。


製造と流通

該当するIFUを適切にユーザーに提供する上で、紙媒体にありがちな課題や複雑性は、医療機器メーカーでも十分に認識している課題です。医療機器やIVD向けのIFUには異なる版数が存在しており、また、各国における言語や要件の違いにも注意する必要があります。この対応として、包装工程の段階で、全ての有効な版数のIFUを同封するか、事前に製品の出荷先を把握している場合は、適切な版数のIFUを梱包する必要があり、企業はどちらの方法を取るか選択しなければなりません。しかし、前者の場合は、パッケージが小さい為梱包が困難もしくは不可能な場合があり、後者の場合にも出荷の準備が複雑になるといった課題が存在しています。

その点、紙のIFUを電子に置き換えることで、このような課題を解決することが可能な一方、その影響を受ける手順書や作業指示書、QMSに関連する他の文書、部品構成表などERPシステム内のデータを特定し、新しいプロセスに対応する為、修正を行う必要があります。例えば、社内での印刷業務や、IFUの印刷を外部に委託するといったプロセスは廃止する必要があります。


Webプラットフォームの管理

ユーザーや患者様が正しいeIFUを利用可能な環境を整備する点において、Webプラットフォームの適切な設計だけでなく、そのプラットフォーム上のeIFUを適切に管理する為のプロセスも必要です。

その為、Webプラットフォームを正しく設計し、適切な管理を実施するには、次のような課題の管理が可能な手順書を作成する必要があります。

  • システムに対するアクセス(管理者やオペレーターを指定し、それぞれに対する権限等を設定)
  • eIFUの追加や削除といった操作の説明
  • 検索等に使用するメタデータ(基本情報)の定義
  • 保管期間の設定(eIFUの場合、有効期限から最低でも2年間、有効期限が無い場合は最後の機器が製造されてから15年間、また、埋め込み型の医療機器についてもWeb上にてアクセスが可能であること)


紙媒体のコピーに関する規定

医療機器とIVDの双方に対して、ユーザーは無料で紙媒体のコピーを要求することができると規定されています。

医療機器に対する規定の207/2012では、依頼を受けた場合、7日以内に紙媒体のコピーをユーザーに提供することが求められています。IVDについては、MEDDEVのガイダンスでは期間は指定されていない一方、ユーザーが無料で紙媒体のコピーを依頼可能な電話番号の開示を医療機器メーカーに求めています。

当社では10年以上に渡り、eIFUのアウトソーシングが可能なソリューションを医療機器メーカーに対して提供してきましたが、紙媒体のコピーの依頼件数は少数となっています。しかし、このような依頼は発生する為、医療機器メーカーとしても、その依頼から提供までのプロセスを確立し、必要となる手順を整備する必要があります。


購買管理

eIFUを導入した場合、医療機器メーカーとラベリングに関わるサプライヤーの関係性に変更が発生する可能性があります。また、印刷業者が不要となったり、重要度が下がるケースがあるかもしれません。

また、eIFUの全てまたは一部を外部委託する場合、その委託先企業も重要な構成要素の一つと認識され、認証機関により選定プロセスに対するレビュー等も行われる為、以下のような点にも考慮する必要があります。

  • 委託先は、医療機器に対するソフトウェアの設計要件(例:EN/INC 62304規格)を理解しているか
  • 委託先は、ISO 13485のQMSを有しているか
  • 委託先は、どのようなサイバーセキュリティー対策を実施しているか
  • 委託先は、ISO 27001に対する認証を取得しているか
  • 委託先は、医療機器やIVD、他の一般的なeIFUに対する経験を有しているか


そして、医療機器メーカーは、委託先の選定において様々な要素を考慮し、採用に至ったプロセスを正当化できる必要があります。


市販後調査(PMS)とリスクマネジメント

リスク評価は、eIFUのプラットフォーム及び関連するプロセスを設計する上で、重要な構成要素の一つであり、医療機器に対する設計や認証と同様、eIFUも継続的に維持・管理する必要があります。そして、PMSのプロセスとして、eIFUに関係する外部からの情報のレビューやリスク評価を実施し、必要に応じて、リスクに対する軽減措置を講じることが要件として求められています。


まとめ

eIFUを導入するということは、QMSを構成する幾つかの業務プロセスに大きな影響があるため、手順書や指示書の作成や修正、削除といったことが必要になります。また、適切な変更管理プロセスも必要となりますが、このようなプロセスが適切に構築することで、医療機器メーカーは、eIFUを導入することで、様々な利点を生かすことに繋がるのです。
 

著者のご紹介
Dirk Stynen

Dirk Stynen(1957年、ベルギー生まれ)氏は、生物学で博士号を取得し、企業経済学の大学院を修了後、科学研究や診断用アッセイの開発、品質システムの導入、臨床研究、規制対応など、幅広い業務経験を有し、ビジネスのあらゆる側面を理解しています。また、4ヶ国語(オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語)に精通している為、欧州内外での効率的なコミュニケーションが可能です。また、Stynen氏は、欧州委員会のIVD技術グループに参加しており、ベルギー代表としてCEN(欧州標準化機構)のTC140のWG2に参加し、IVDの規格開発も担当しています。

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