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細胞・遺伝子治療における品質管理と製造実行システムの意義|ニュース&コラム|品質マネジメントシステム(QMS)管理ソフトウェアならマスターコントロール

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コラム

細胞・遺伝子治療における品質管理と製造実行システムの意義

2022-03-30

ライフサイエンス業界は、細胞治療と遺伝子治療の分野で加速的な進歩を経験しています。遺伝子病や(例えば自己免疫のような)細胞性疾患と闘う世界の何百万人もの人々は、こうした科学的なブレークスルーを最も重要なものと位置付けています。しかし、これらの治療の開発に係わっている企業は、開発、法規制のクリア、臨床試験の実施および商業生産に関して大変な困難に直面しています。様々な障害を克服するためには、有用な医療製品を生むのに必要なイノベーションと技術の強い結びつきが求められます。

細胞治療と遺伝子治療は若干異なるものですが、商業生産に係わる困難の多くはこれらの治療の間で共通しています。細胞治療や自家細胞製品では、患者から細胞が採取され、何らかの方法で拡げられた後、疾患の治療のために患者当人に戻されます。一方で、遺伝子治療または同種異系製品では、ソースとなる材料はドナーの細胞になります。同じことが、疾患を治療ないし治癒するためにアデノ関連ウイルス(AAV)のようなベクターを使って遺伝子を修飾する体内(in vivo)遺伝子治療にも当てはまります。ライフサイエンス業界が進化し前進し続けるにつれて、先進的な療法が、病院、橋渡し研究施設、小規模の製造施設を含む独特の場で現在生まれています。

この論考では、細胞/遺伝子治療関連製品の製造とその品質の保証と共に、このプロセスをデジタル方式の製造実行システム(MES)と品質管理システム (QMS) の利用を通じて改善しうるソリューションを生み出す責任を負う企業のそれぞれが直面する幾つかの挑戦課題を検討することとします。細胞/遺伝子治療関連製品の製造に関連した具体的な挑戦課題には、臨床試験のデザイン、被験患者の募集および計画の策定と調整に関する独自の複雑なプロトコルが関係します。また、品質、規制の遵守および製造に関連した重要な挑戦課題もあります。生物学的製品の生産のためにデザインされた施設をもつ製造業者で、 適正製造基準 (cGMP) にすでに適合しているところでさえ、以下に記すような障害に直面しています。

労働集約的な生産プロセス
今日の細胞治療では多くの場合、患者自身の細胞(例えば自家移植片)を治療開始時の材料として用い、一時に1用量が製作されます。ここでは特定の患者から採取された細胞が同じ患者に施される療法の基盤となります。この方法はきわめて労働集約的で、ミスが起きやすく、紙をベースとした手作業によるやり方で対応することは容易ではありません。

製造環境は依然として検査技師と製造作業者に依存しており、文書化し、追跡し、監査する必要がある複雑で時間がかかる業務が彼らによって実施されています。予定された生産性を維持するため、製造業者は、製品開発から上市のための承認の取得にいたる過程を通じてデータ、文書およびプロセスを連結することができる、クローズドループのMESと電子化されたのQMSを必要としています。これには、ドナーのサイト、セルバンク、ロジスティックスの提供者および納入業者の拡大されたネットワークが含まれます。加えて、QMSが 電子バッチ記録 (EBR) システムに確実に統合されていることが、初回生産、インライン品質、トレーサビリティ、例外によるレビューおよびその他の必須のタスクを遂行するためにきわめて重要となってきます。

トレーサビリティ
製造サイクルの間に複雑な生物学的治療の安定性、進行およびトレーサビリティを保証する試みでは、人手による追跡プロセス(紙をベースとしたフォーム、スプレッドシート等)を使うので、しばしば問題が生じます。紙ベースのフォームや未検証のスプレッドシートを使い製品のライフサイクル全体を通して製品を追跡することは現在も行われていますが、そうしたやり方では転記の際のミスが多発したり偶発的な削除が起こるうえ、21 CFR Part 11の要求事項に適合しないことになります。

サプライチェーンの管理
複雑なサプライチェーンを紙ベースのシステムを使って管理すると結果的に文書の所在が分からないとか出荷時にミスが生じるといったことが頻繁に起こり、このために大きなコスト負担が生じ、患者が必要なときに製品を入手できないという悪影響を与えます。細胞/遺伝子治療関連製品の有効期限は短いために出荷を急ぐ必要があり、そうした製品を出荷して遅滞なく予定通りに治療現場に確実に届けるようにするために残された時間的余裕が少なくなるケースが起こりがちです。

挑戦的なアナリティクス
細胞/遺伝子治療関連製品については、最終滅菌が選択されることは稀なので、無菌処理プロセスが必要になります。求められるアッセイの多くはこうした製品に固有のもので、開発は容易ではありません。テストが難しく時間がかかり、希少な製品を一定量必要とします。

結 論
細胞治療の臨床試験から商業生産段階に移行するためには、製造企業が高度に標準化された工業プロセスを確立しておかなければなりません。しかし、規制当局の承認を世界的に取得するのに成功した企業でさえ、商業生産という困難な課題を予測し準備を整えるために苦闘してきました。多くの企業について言えば、投資家は、製造企業が規制当局のガイドラインに準拠しながら製品を製造するプロセスを早い時期に知りたいと考えています。従って、企業の成功にとって、効果的な品質管理、プロセスの開発および拡張可能な生産能力がきわめて重要になります。

要約すると、ライフサイエンスの中の細胞/遺伝子治療の分野は飛躍的に成長しています。ステークホルダーには、市場での地位を確保し急速に進化するバリューチェーンに貢献できるよう生産能力を強化するために、より進んだ方法と技術を適用するよう求められています。より高次の機能をもつ製造のソリューションと品質管理システムを製造プロセスのできるだけ早期に利用することで、最初の細胞採取、処理、テストから細胞療法の現場への出荷までをシームレスに統合し、適正品質基準(cGMP)を遵守するために生じる負担を減らすことができます。

著者のご紹介
Matthew Kanter

Matthew Kanterは MWA Consulting, Inc.のアソシエートコンサルタントで、遺伝子治療関連製品の製造および品質が彼の専門分野です。品質とコンプライアンスの分野における技術面および管理面の練達したリーダーとして、Kanterは、30年わたって、スタートアップや、バイオ医薬、医薬品、バイオ技術、医療製品を手掛ける会社について品質システムを実施/管理し、品質部門を設立してきた経験を有しています。彼はミシガン大学で生物学の学士号を取得しており、ASQ Golden Gate (SF) Sectionの元議長を務めました。

Lisa Helmond

Lisa Helmondは、トレーニングプログラムを実施すること、MWA Consulting, Inc.の顧客との関係を発展させ維持すること、MWAのコンサルティングチームが業界で最高の品質サービスを継続して提供できるよう努めることに注力しています。彼女は30年にわたって、医薬品および医療機器業界の製造と品質保証の分野でこれらの産業向けのトレーニングを実施してきました。Lisaは、GxP(適正XX基準)に関して広範な知識を有し、幾つかのスタートアップや大会社と共に働き、業界が直面する挑戦課題を理解しています。彼女はロードアイランド大学から動物学の学士号を取得し、サンタクララ大学から経営学修士(MBA)の学位を得ています。

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