- 医療機器製造
- QMS
- MES
ケアストリームヘルス社は、世界中の医療および非破壊検査市場にデジタルX線製品およびX線フィルムを提供する企業です。同社はニューヨーク州ロチェスターに本社を構え、オレゴン州、コロラド州、メキシコ、中国など、世界各地に拠点を置いています。


- 主力事業
- 医療機器
- 本社
- ニューヨーク州ロチェスター
- 従業員数
- 全世界で4,400人以上
- 課題
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旧式のレガシーツールの近代化、デジタル製造の推進、eDHRの作成や実行およびレビューの合理化、製造および品質管理プロセスの統合により、リスクの軽減と生産性の向上を図る。
- ソリューション
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- 成果
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ケアストリーム社は現在、製造および品質管理に使う単一のプラットフォームを用いて、グローバルな製造環境全体に最新のテクノロジーツールを少数に絞って展開しています。その結果、可視性、効率、生産性が改善し、リスクが軽減しました。
2007年に独立企業となった後、ケアストリーム社は従来のフィルムから製品ポートフォリオを進化させ、最先端のデジタルX線撮影(DR)システムの提供を開始し、デジタルイメージングと医療テクノロジーにおける世界的リーダーとなりました。
「ケアストリームに入社するより前のことですが、私が働き始めた当初、デジタルは存在していませんでした。当時は、コンピューターX線撮影(CR)に向けた取り組みを開始していた頃です。プレートを使って撮影を行い、電子的にそのプレートを画像に変換してから実際に印刷するというのが基本的な工程でした。」ケアストリーム社のプロセスマネージャー、Eli Tuber氏はこのように述べています。「しかし、今はすべてデジタル化されています。この分野はデジタルプラットフォームへと全面的に移行しました。」
製品にデジタル革新が起きたにもかかわらず、ケアストリーム社のテクノロジースタックでは最新のデジタルアプリケーションやツールがあまり活用されていませんでした。世界各地に分散している4,400人以上の従業員が、15年以上前のレガシーシステムを使って業務を行っていました。そのため、ビジネスの進化、リスクの軽減、生産性の向上を目指してツールを近代化し、プロセスを標準化する必要がありました。
Tuber氏は現在、ケアストリーム社のオペレーショナルテクノロジーにおけるデジタルトランスフォーメーションを主導しています。古いレガシーシステムから最新のデジタルプラットフォームへ、同社の製品が変遷を遂げたのと同様の変化を起こそうとしているのです。
最新のツール。統合されたテクノロジープラットフォーム。
Tuber氏はこの分野で22年の経験を持ち、ケアストリーム社に勤務して13年になります。そのTuber氏によると、ケアストリーム社が独立企業になった時、最大の課題はそれまで長らく使用されてきたレガシーツールをすべて移行することだったそうです。混乱を避けるため、企業資源計画(ERP)システム、設計ツール、データベース、その他すべてを事業売却の流れの中で入れ替えました。
ケアストリーム社はアプリケーション環境の近代化に重点を置き、品質と製造の各プロセスを単一のプラットフォームで総合的に連携させられるよう、テックスタックの近代化に踏み出しました。
「プロセスからあらゆる紙を排除すること。それが、私たちの目指す理想のソリューションです。」Eli Tuber氏ケアストリームプロセスマネージャー
デジタルプラットフォーム戦略は、システム、プロセス、ロケーション間の連携および情報交換を加速するものです。ケアストリーム社はこれを認識しているため、連携の強いプラットフォームを少数に絞って活用し、データとプロセスを適切に統合するというアプローチを取っています。同社の優先事項に、機器履歴簿(DHR)システムの置き換えがあります。このシステムは導入から15年以上が経過しており、サポートが終了したプラットフォームに依存しています。
「このような理由から、当該システムにはリスクがありました。高度なレポート機能や優れたユーザーインターフェースといった性質を持つ、より近代的なシステムに移行する必要があったのです」とTuber氏は述べています。「ツールの検討を開始した時、これが最初の目標でした。」
さらに、中国ではX線フィルムの少品種大量生産、その他のグローバル拠点ではデジタルイメージング機器の多品種少量生産など、世界に展開する企業ならではの多様な製造ニーズをサポートするソリューションが必要でした。
様々な製造プロセスをサポートするのに十分な柔軟性を備えながら、データ、ポリシー、管理を異なる拠点やプロセス間で調和させることができるソリューションを見つけなければならなかったのです。
柔軟なデータ駆動型eDHR。標準化された作業指示書。拠点間で共有される関連データ。
ケアストリーム社のX線フィルムとデジタルイメージングのラインでは、DHRにおける要件が多く存在していました。特にハイエンドのデジタルイメージング製品は顧客の要求に合わせてカスタマイズするケースが多いため、高度なマスカスタマイゼーションに対応できるよう、DHRはユーザーによる迅速な構成変更をサポートしなければなりません。
ケアストリーム社のレガシーシステムは基本的に自社開発されたものであり、DHRの内容構築に多くの手作業が必要でした。MasterControl Manufacturing ExcellenceTMソリューションを使用すると、完全デジタルのDHRテンプレートを簡単に作成および展開でき、そこにリアルタイムの製造データから豊富な情報が入力されます。一方で、紙ベースでの記録と同様の親しみやすさや使いやすさも維持されています。これにより、ケアストリーム社では電子DHR(eDHR)の作成、実行、レビューが従来よりもはるかに素早く行えるようになっています。
データの入力ミスは事実上排除され、製造現場におけるデータの整合性が向上したほか、ケアストリーム社は拠点間で製造データを分離できるようになりました。ケアストリーム社の各拠点は基本的に異なるビジネスユニットとして機能しており、互いにベンダーとしての役割を果たしていることも少なくありません。拠点間で共有するデータがある一方で、共有の必要がないデータを制限しなければならないため、この機能は非常に有用です。
「以前使われていた当社のレガシーシステムはほぼ自社開発であり、構築に多くの手作業が必要でした。動いていましたし、必要な処理を行うこともできましたが、内容を構築するのが大変でした。」Eli Tuber氏
「QMS[品質マネジメントシステム]の情報は共有されている必要があります。そのため、コーポレートレベルの標準運用手順書(SOP)および同種の情報は包括的なものであるべきです」とTuber氏は述べています。「しかし、工場固有のSOPやプロセスはその工場やチームに特有のものです。マスターコントロールの保管機能および拠点間でデータを分離できる機能は非常に便利で、これが必要不可欠なケースもあります。各拠点は独立しているため、製品のDHRやデータを個別に確認しなければなりません。」
作業指示書も、ケアストリーム社のレガシーツールにおいて考慮すべき課題です。同社は、作業指示書の作成やバージョン管理、および現場の作業者による作業指示書へのアクセスを容易にするソリューションを求めていました。ケアストリーム社がManufacturing Excellenceソリューションを使用すれば、作業指示書の導入および標準化が行われるほか、オペレーターや製造現場の担当者が常にその最新版にアクセスできるようになります。また、同じプラットフォーム上で従業員のトレーニングと直接結び付けることで、トレーニングにおけるコンプライアンスも強化されます。
マスターコントロールを使用して新しいテンプレートとワークフローを標準化することは、同社にとって非常に有用であるとTuber氏は述べています。
「レガシーシステムでは、多数のプロセスや様々なツールが使用されるほか、データへのアクセス方法も異なります」とTuber氏は話します。「当社は標準化に力を入れています。フットプリントの削減、リスクの軽減、生産性の向上など、将来の取り組みのためにこれは必要不可欠なのです。」
プラットフォームのダイナミクス。連携したソリューション。
ケアストリーム社は標準化に際して、重要な製造機能と品質機能を同じプラットフォームに移行することを検討しています。これによって誰もが同じ様に手順を踏めるようにすることが狙いです。
「これは当社の取り組みにとって非常に重要です」とTuber氏は言います。「SOP、是正措置および予防措置(CAPA管理)、苦情をすべて1つのプラットフォームで管理できます。」
マスターコントロールはケアストリーム社に、ドキュメント、電子DHR、デジタル作業指示書、SOP、CAPA管理、苦情を統合するプラットフォームを提供しました。
「私たちはこれを、同じ屋根の下にパズルのピースを追加する機会であると捉えました。バージョン管理、署名、トレーニングなどにおいて、連携しきれず分散しているツールを使うのではなく、全員が1つのツールを使っています。これは納得せずにはいられません。この点は、マスターコントロールを選択するにあたって大きなポイントの1つでした。」
「マスターコントロールを採用するという決断は、経営陣を納得させやすいものでした。分散したピースを後からつなぎ合わせようとするのではなく、1つのツールですべてを行えるのですから。」Eli Tuber氏
ケアストリーム社は多様なニーズを持つグローバル拠点をサポートできるよう、デジタルソリューションを導入しました。これにより、現在も未来も1つのプラットフォームであらゆる拠点およびシステム間を容易に統合できるでしょう。
「結局のところ当社の目標は、PLM[製品ライフサイクル管理]ソリューション、DHRを伴うQMSソリューション、ERPソリューションを保有することです。3つのプラットフォームのいずれかでこれらすべてを実現することが最終目標です。ユースケースが多数あっても、ユーザーは1つのツール、1つのシステム、1つのプラットフォームに親しむことになります。CAPA管理にも、DHRにも、作業指示書にも、SOPにもこれが使えるのです」とTuber氏は述べています。「旧式なツールや使いにくいツールがシステム内で分散するのではなく、すべてが一箇所に集約されます。」