- 医薬品製造
- QMS
認識を共通のものにする方法


- 主力事業
- 医薬品調剤
- 国
- 20か国
- 拠点数
- 66か所
- 従業員数
- 2,994名
- 品質担当者数
- 357名
- 課題
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全世界66拠点で、同じ品質プロセスや手順に従えるようにする。
- ソリューション
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- 成果
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マスターコントロールを導入した拠点では、トレーニング資料を紙ベースで作成するために費やしていた時間を年間450時間以上削減し、週あたり500枚以上の紙を節約することに成功しました。製造現場では、Right-First-Time指標が100%改善され、逸脱の発生回数が50%減少しました。
世界中に展開していることで、Fagron社はいくつかの課題を抱えることになります。最も注意を要する点は、サービスを提供する各市場で規制を遵守していくことにあるかもしれません。米国のFDAとブラジルのANVISAとでは、規定するルールにいくらか違いがあります。また、欧州連合における欧州委員会と比較しても異なる点があります。実際に、Fagron社が事業を展開しているEU加盟国では、17の異なる規制当局を考慮し、有効性を検証しなければなりません。
このような不統一により、一貫性のないプロセスが生まれていたのです。Fagron社では、各拠点に独自の標準運用手順書が存在していました。また、一般的なプロセスにも問題がありました。作業指示書の更新がWordを使用して行われていたため、最新のドキュメント、つまり最も正確なドキュメントがどれなのか、わからなくなってしまう事態が頻発していました。必須トレーニングでも、煩雑な手動プロセスが採用されていました。品質管理チームは、週あたり最大300ページものトレーニング資料を印刷していました。印刷して大きなバインダーで製本し、さらには実験室や製造現場のクリーンルームで使えるよう滅菌処理を施すために、9時間近くの時間を費やしていました。
「当社は、州、国、地域のいずれかに求められる様々なローカルの規制要件および品質要件に注力する専門チームを擁しています。」Jason Maguire氏Fagron社グローバル品質ディレクター
コミュニケーションが改善されると、一貫性がシンプルに実現する。
Fagron社は、最初に米国の数拠点でマスターコントロールを導入しました。望ましい結果がすぐに現れました。
かつてはサイロ化されていた品質ドキュメントが、ネバダ、フロリダ、ミネソタ、テキサス、カンザスの各オフィス間で簡単に共有できるようになり、ヨーロッパにある7つの拠点でも、マスターコントロールのドキュメントやトレーニングモジュールといった強力な機能が活用されています。Eメールでドキュメントをやり取りすると古いバージョンが使われるリスクが高まりますが、そのEメールを使用する必要がなくなりました。現在では、重要な品質ドキュメントのすべてが、マスターコントロールという信頼できる唯一の情報源に集約されています。
ドキュメントに更新が必要な場合は、ドキュメント変更リクエストを記入すれば、拠点を問わずチームのメンバーがマスターコントロール内で直接変更を加えられます。最新のドキュメントのみが使用されているため、品質チームが心配することはありません。
ヨーロッパにある7つの拠点にマスターコントロールを導入した後、そのメリットはさらに拡大しています。
「私たちは皆、単一のプラットフォーム上で、信頼できる唯一の情報源に基づいて業務を進めています。つまり、世界中のあらゆる社員が1つのサイトに結集しているのです。今、私はポーランドの社員が取り組んでいるドキュメントを閲覧でき、その逆もまた可能です。今までそのような柔軟性は持ち合わせていませんでした」と、Fagron社北米品質スペシャリストであるMatt Seitz-Paquette氏は述べています。
紙が減れば、効率がアップし、品質が向上する。
現在、トレーニング資料が詰め込まれたバインダーはタブレットに置き換えられました。これによってFagron社は、トレーニングの準備にかかる時間を年間で数百時間も削減できます。当然のことながら、各拠点で週あたり500枚以上の紙を節約することにもなります。2026年までに温室効果ガスの排出量を2019年比で30%削減するという目標を設定するなど、全社的にサステナビリティを重視している同社にとって、こうした節約は重要な意味を持ちます。
また、この変化はRight-First-Timeの品質目標と合致します。この合理的な品質システムを導入した後、初期段階でもRight-First-Time指標で100%の改善が見られました。北米チームはすでに、製造量の95%でRight-First-Timeを実現するという目標に近づいています。
Fagron社がマスターコントロールを継続的に使用してデータをより多く収集していけば、このシステムにおける傾向把握やトラッキングといった機能をより広範に利用でき、問題が存在し得る場所について真のインサイトを得ることが可能です。これにより、品質プロセスに対する取り組みがより一層プロアクティブなものとなっています。
「マスターコントロールのおかげで、負荷が大幅に軽減しました。製品を作り、それを多くの人に届けることに集中できます。」Matt Seitz-Paquette氏北米品質スペシャリスト
規模を拡大すれば、より大きな調和が生まれる。
マスターコントロールの利用拡大を通じて品質をグローバルで標準化することは、Fagron社が掲げる長期ビジョンにおいて常に基礎的な事項であったと、Seitz-Paquette氏は述べています。
「あらゆる拠点で標準化を図るということは、当初から計画の一部でした」と同氏は言います。「もちろん、世界中の全拠点で一度に達成できることではないため、複数回に分けて行っています。常に行っているのは、追加するということだけです。拠点やモジュールを追加するときは、すべて同じ標準プロセスに従っています。」
Fagron社は現在、11のグローバル拠点(米国4拠点、欧州7拠点)でマスターコントロールの品質ソリューションを導入し、成功を収めています。Fagron社の従業員のうち3人に1人、1,000人近くがマスターコントロールのユーザーとなりました。マスターコントロールの使用を拡大したことで、Fagron社では是正処置/予防措置(CAPA)、逸脱、トレーニングなどの重要な品質プロセスにおいて、その管理方法が劇的に効率化されました。
「イベントの分析や傾向把握に使えるデータが増えたため、あらゆる事象でCAPAを開始するのではなく、CAPAを開始すべきタイミングが明確にわかるようになりました」とSeitz-Paquette氏は述べています。
こうした拡大により、グローバルに展開する同社のあらゆるユーザーが品質活動に直接参加できるようになったと同氏は考えます。
「当社は、従業員に品質を委ねているのです」と同氏は言います。「従業員自身が品質をモニタリングしているため、あらゆる事象が報告され、必要に応じてエスカレーションもされます。」
マスターコントロールを広く使用することで、Fagron社では効率性が新たなレベルに引き上げられ、以下に挙げる驚異的な品質パフォーマンス指標が達成されました。
「常に行っているのは、拠点を追加するということです。その際も、あらゆる拠点が同じ標準プロセスに従います。」Matt Seitz-Paquette氏北米品質スペシャリスト
Seitz-Paquette氏によると、このような素晴らしい成果により、できるだけ多くの拠点にマスターコントロールのソリューションを導入していくという同社の目標が実現できると改めて強調されたということです。
「全体的なロードマップに照らせば、まだ始まったばかりです」と同氏は言います。「品質はすべての中心です。私たちが行うあらゆる活動の核となるものだからです。当社は迅速に動き、前進し続けます。」