導入事例
Dendreon
  • 医薬品製造
  • QMS
  • MES
デジタル製造ソリューションにより細胞治療薬の製造に品質管理を組み込む方法
Dendreon社は細胞治療業界のパイオニアです。同社は、患者自身の免疫細胞から作られた初のFDA承認免疫治療製品であるPROVENGEの開発・製造を行っています。2010年にFDAの承認を受けたPROVENGEは、末期前立腺がん患者を対象とした延命治療に有効です。承認以来、約40,000人の男性がこの最先端の治療薬の恩恵を受けてきました。PROVENGEは、患者の免疫細胞を活性化してがんと闘い、患者の寿命を延ばし、愛する人たちとの思い出を作る時間を増やします。
dendreon
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企業概要
主力事業
バイオ医薬品
細胞治療
設立
1992年
本社
カリフォルニア州シールビーチ
ソリューション
Quality Excellence (Qx)
Manufacturing Excellence (Mx)
課題
ヒューマンエラーの可能性を最小限に抑え、紙の記録による負担を排除し、拠点間のチームをより緊密に連携させながら、可能な限り最も効率的な方法で、パーソナライズされた免疫療法を患者に提供すること。
ソリューション
Quality
Quality
Manufacturing
Manufacturing
成果
MasterControl Manufacturing Excellenceは、Dendreonがレビューとリリースに要していた時間をほぼ50%短縮し、99%という驚異的な割合で初回から適切な製造を維持するのに役立ちました。各チームはもうサイロ化されていません。製造チームと品質チームは、どの拠点にいてもリアルタイムなデータ、レポート、統計を含む同じ電子バッチレコードを確認できます。さらなる効率化を図るため、Dendreon社は最近、マスターコントロールとの協業によるデジタルトランスフォーメーションの継続としてQualityExcellenceを実装しました。

Right First Time(初回から適切)かつRight On Time(適切なタイミング)なロジスティクス

PROVENGEはたった一人の患者の細胞を使用して、患者専用にパーソナライズされた治療薬を開発することで、自律的に機能します。患者一人ひとりにPROVENGEをお届けすることは、一刻を争うことです。Dendreon社は、患者のパーソナライズされた治療薬を製造するのに1週間も時間をかけることができません。その製造過程には、患者の血液成分を受け取り、これを処理して患者専用の治療コースを作成し、その後、治療薬を患者に注入して戻す工程なども含みます。

ここで生産ラインに遅延が生じると、治療薬が患者に届かず、延命治療が遅れてしまう可能性があります。Dendreon社のCOOであるChuck Olson氏によると、患者に対するアフェレーシス療法、輸送、細胞処理、そしてPROVENGEを患者に届けるまでの時間的制約がある中で、最適な社内ロジスティクスを実現することが、細胞治療業界のパイオニアとしての同社の成功に欠かせない要素であると述べています。

患者にとって必要なのは少しでも多くの時間です。これを確保できるよう、Dendreon社はたゆまぬ努力を続けています。全米からの患者の細胞をPROVENGEへと加工する工程は、カリフォルニア州シールビーチとジョージア州ユニオンシティにあるDendreon社の2か所の製造拠点で行われます。

「当社の製品を、私たちは信じています。人生を変えられるほどの製品です。だからこそ、効率性について考えてみてください。何人の患者を治療できますか?どれほど多くの人に恩恵を与えられるでしょうか?」
Nadeem Sheikh氏 Dendreon製造/研究科学担当バイスプレジデント

一人の患者あたりに1件のバッチレコード

PROVENGEは約40,000人の男性の寿命を延ばすことに成功しました。各患者に対し、治療計画に関連する3つの異なるバッチレコードが存在します。つまり、個別のバッチレコードの総数は120,000件にものぼります!この治療薬の製造プロセスの特殊性により、各バッチレコードは数百ページもの長さになる場合もあり、リリース前には、バッチレコードの各行を確認する長大な品質レビューが必要になります。それに加えて、紙に記載されて他との関連性を失ったデータが、生産と品質管理の狭間で生じます。その結果、1回の注入に関する情報を取り出すために、克服すべきハードルが多く存在するという事態に陥りました。

そこで、Dendreon社はマスターコントロールと提携し、MasterControl ManufacturingExcellence (Mx)を使用して製造プロセスに品質管理を組み込むことにしました。これにより、品質チームがリアルタイムに問題を発見し、製造チームと協力して解決策を検討できるようになりました。品質チームは、例外によるレビュー機能を使用することで、逸脱リスクの高い領域をピンポイントで特定し、レビュープロセスを標準化できるため、生産の遅延を回避できます。

「自動化して紙のバッチレコードを排除できると、生産性だけでなくデータの整合性も向上します。マスターコントロールの例外によるレビュー機能に頼ることで、仕様外のプロセス内パラメータを含むバッチのリリースを確実に回避できます。」
Bruce Johnson氏 Dendreon西海岸/免疫療法製造担当バイスプレジデント

Dendreon社の研究/製造科学担当バイスプレジデントであるNadeem Sheikh氏は、結局のところすべては「結束力」の問題であると述べました。

「調査や不適合のフォローアップが必要な場合、どのように行いますか?30年前なら、おそらくほとんどの場合、紙ベースのシステムを使っていたでしょう」とSheikh氏は言います。「当社で製造しているような一刻を争う製品の調査を数時間でリリースし、決定を下さなければならないという状況を想像してみてください。患者は製品の恩恵を受けられるでしょうか? その患者は治療を受けられますか?マスターコントロールが提供する製品は、当社に真の効率性とスピード感をもたらし、はるかに迅速な意思決定が可能になりました。」

最も重要なことは、マスターコントロール製品により、Dendreon社では複数チーム間でリアルタイムなデータ、レポート、統計の共有ができるようになった点であるとSheikh氏は述べています。

「シアトルにいながら、システム経由でシールビーチやユニオンシティの施設で起こったことをリアルタイムに確認できます」とSheikh氏は言います。「これにより当社のスタッフは、両施設の製造チームと品質チームとで連携し、協力して発生した不適合を解消し、技術評価や影響評価を行うことができるようになりました。」

最適なMESの発見

MasterControl Mxを導入する前は、Dendreon社では製造施設で紙ベースのバッチレコードシステムを使用していました。同社は紙ベースの製造システムを使用して、一定の成功を収めていました。しかし、バッチレコードのデジタル化は、効率性を高め、バッチの精度を向上させ、同社が細胞治療業界の最前線に立ち続けるために欠かせない次のステップでした。ただし、他の細胞治療および遺伝子治療業界の多くの企業と同様、Dendreon社の製造プロセスは、自動化された少品種の大量生産用に設計された従来の製造実行システム(MES)ソリューションには適していませんでした。Dendreon社は、細かなニーズに合わせて調整でき、同社の製品開発をサポートできるような、これまでとは一線を画したソリューションを必要としていました。

製造担当ディレクターのKyle Jackson氏は、Dendreon社は従来の意味でのMESを求めてはいなかったと語りました。

「当社の製品は手動による部分が非常に多いため、機械やポンプなどを制御できるソフトウェアを探しているわけではありませんでした」とJackson氏は言います。「当社が本当に求めていたのは、紙の文書化システムを電子形式に変換することでした。」

Jackson氏はまた、製品の安全性をさらに確保するために、クリーンルームから紙の文書を取り除くことを検討していると述べました。

クリーンルームに紙のバッチレコードを保持することは、時間がかかることは言うまでもなく、コストがかかり、汚染やエラーが発生しやすくなります。クリーンルームに持ち込めるよう滅菌設計された、高価で特殊な紙材料を大量に必要とします。また、手書きでの値の入力は、マークの誤りや読みにくさが生じやすくなります。チーム間のコミュニケーションは遅れ、完了後のプロダクションレコードの保存には、高価なオンサイトストレージの利用が必須です。デジタルソリューションへの変更により、Dendreon社はこの種のコンプライアンス管理とバッチレコード管理の非効率性から解放されました。

MasterControl Mxは、電子バッチレコード文書を提供することで、Dendreon社から紙を管理する負担を取り除きました。これにより、製造チームと品質チームの両方が、Dendreon社のどの拠点にいようと、プロセス内のバッチレコードに最初から最後までアクセスできるようになりました。

「DendreonにおけるManufacturingExcellence導入の目標は、実際には2つありました。まずは、クリーンルームから紙の文書を排除することでした。それに次いで、バッチ管理、発行レビュー、完了に至るまでの関連プロセスの一部を実際に効率化することでした。結果的に、これまでかかっていた労力を約50%削減することができました。」
Kyle Jackson氏 Dendreon製造担当ディレクター

デジタルトランスフォーメーションの継続

Dendreon社は、Manufacturing Excellenceを組み込んだ結果が非常に優れていたため、品質マネジメントシステム(QMS)の合理化およびトレーニングの製造実行との統合を図ることを目的とし、最近MasterControl Quality Excellenceを導入しました。

「当社は古いシステムから脱却できることに喜びを感じています」と最高執行責任者のChuck Olson氏は述べています。

バイオ医薬品業界での経験30年のベテランであるOlson氏は、デジタルQMSを導入する際、従業員を参画させることの難しさに直面してきました。しかし、Dendreon社においてMasterControl Quality Excellenceを導入した際は例外であったと同氏は言います。

「従業員はQMSの導入を歓迎しています。このようなことは極めて稀です。通常、導入までに困難と労力を伴いますが、今回はすでに電子化まで達成されました。」

Olson氏は、新しいQMSを採用してから目の当たりにした従業員からの肯定的な反応を強調しました。

「マスターコントロールのテストシステムを従業員が使い始めると、『この製品ははるかに優れています。従来と比べて簡単になりました』といったコメントが寄せられました。」

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