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最初から正しく品質を ~OmniBudsがQMSスターターパッケージで基盤を築いた方法~
本記事はマスターコントロール本社公式ブログの日本語版です。
医療機器スタートアップを立ち上げる際、すべての意思決定が重みを持ちます。まず紙ベースで始めて、後からデジタルへ移行すべきか?段階的に構築しながら、問題が生じたら都度対処すべきか?それとも、最初からデジタルによる品質の基盤に投資すべきか?
OmniBuds品質・薬事担当シニアディレクターのトム・ゴールデン氏にとって、答えは明確でした。30年にわたる品質管理の経験を持つ彼は、どの道が新会社の成功につながるかを正確に把握していたのです。
OmniBuds - 心臓の健康を、もっと身近に -
OmniBuds¹は、現代のニーズに合わせた心血管モニタリングの再定義に取り組んでいます。想像してみてください。見た目も使い勝手もお気に入りのワイヤレスオーディオ機器と変わらないイヤーバッドが、耳の中で血圧関連・心臓関連のシグナルを計測する高度なセンサーを搭載して開発されているのです。
「ブルートゥースイヤーバッドを装着しながら、血圧と心拍数をモニタリングするようなものです」とゴールデン氏は説明します。OmniBudsは、急速な事業成長・規制上の複雑さ・医療機器製造の厳格な基準に対応できる品質管理システム(QMS)を必要とするイノベーションを開発しています。
立ち上げ時のチームメンバーがわずか6名のスタートアップにとって、これは高いハードルです。
20年以上のシステム知識を礎に
ゴールデン氏と主要QMSプロバイダーであるマスターコントロールとの関係は2005年にさかのぼります。当時、彼はシステム管理者として働いており、以来、複数の組織においてシステム導入を主導し、米国食品医薬品局(FDA)・認証機関・国際機関による30件以上の規制当局監査を、マスターコントロールチームと協力しながら乗り越えてきました。
「長年にわたって私の意見は真剣に受け止められ、マスターコントロールチームは私が提案した機能強化の多くを実装してくれました」と、ゴールデン氏はマスターコントロールとの長年のパートナーシップを振り返りながら語ります。「マスターコントロールが顧客の声に耳を傾けていることは、よく分かっています。」
OmniBudsに参画した際、ゴールデン氏が経営陣と最初に交わした会話の一つが、品質インフラについてでした。彼のピッチはシンプルながらも説得力がありました。「紙で始めるのはやめましょう。最初からデジタルで構築できます。手間と時間を大幅に節約できますよ。」
経営陣はゴゴーサインを出しました。そして、ゴールデン氏は自身が紙ベースのスタートアップ時代には存在しなかったものを発見しました。それが「Quality Excellence(Qx)スターターパッケージ」です。
スケールアップを見据えたクイックスタート
Qxスターターパッケージはスタートアップにとってのマスターコントロール導入スケジュールを一変させます。従来の導入プロセスは数ヶ月に及び、多大な費用投資を要しますが、Qxスターターは新興企業向けに特化して事前設定されたシステムを提供します。そして成長に合わせてスケールアップできる、エンタープライズグレードの基盤を最初から備えています。
20年にわたるマスターコントロールの専門知識を持つゴールデン氏でさえ、スターター設定に価値を見出しました。このシステムには、文書番号の体系・ボルト設定・トレーニングのフレームワークがあらかじめ整備されており、品質管理の深い経験を持たないチームにとって重要な足場となります。
「私のような経験がない方にとっては、本当にメリットだらけです」とゴールデン氏は強調します。「文書番号システムや、ボルトからその先に至る設定が整っていることは、非常に大きな助けになります。」
スタートアップのスピードに対応した導入
OmniBudsは標準的な導入スケジュールより早く、約30日で稼働を開始しました。ただし、ゴールデン氏はそのスケジュールをほとんどのスタートアップにとって標準的なものと捉えるべきではないと注意を促します。
Qxスターターの導入には通常約90日かかりますが、ゴールデン氏は新しいチームがその時間をフルに活用することを勧めています。「システムをしっかり理解してください。多くの機能や細かい仕様がありますから」と彼は言います。
最も重要なのはスピードではなく、正しい基盤を構築することです。マスターコントロールは導入プロセス全体を通じてサポートを提供しており、時間をかけて取り組んだ企業は、初日から正しく設定されたシステムを手にすることができます。
OmniBudsのチームにとって、システムへの習熟は早かったです。ゴールデン氏は各メンバーのITスキルレベルに合わせてトレーニングセッションをカスタマイズし、システムの全機能で圧倒するのではなく、当面の必要事項に絞って説明しました。「これが私たちのシステムの仕組みです。今すぐやるべきことはこれです。後は進みながら教えていきます。」
この「成長しながら学ぶ」アプローチは、Qxスターターのコンセプトそのものを体現しています。今日必要なものからスタートし、要件が拡大するにつれて広げていく、という考え方です。
数字が物語る実績
OmniBudsはまだ品質管理システムの完全な成熟段階には達していませんが、ゴールデン氏はマスターコントロールの過去の導入事例から、数十年分の定量的な成果を挙げることができます。
- スループットの改善: 紙ベースのシステムと比較して70〜75%向上。かつて物理的な書類箱を経由してゆっくり進んでいた文書回覧が、デジタルスピードで処理されるようになりました。
- 大幅なエラー削減: 文書管理およびトレーニングプロセス全体で顕著に低減。電子ワークフローにより、紙システムを悩ませていた走り書きのメモ・版の紛失・誤ったファイリングが排除されました。
- 目を見張る監査効率。 規制当局は通常、文書管理システムのレビューに1〜2時間を割り当てます。マスターコントロールを使用することで、ゴールデン氏は常に30分以内にレビューを完了し、監査員から毎回好評を得たと振り返ります。「特にマスターコントロールを知っている監査員は、『マスターコントロールですね。では問題ありません』という感じでした。」
- FDAおよび認証機関の監査において、マスターコントロールシステムがトレーニング履歴・文書の追跡記録・変更記録を即座に引き出せる機能は、規制コンプライアンスにおいて最もストレスのかかる部分を、体系的な管理の実証へとスムーズに変えました。
あなたの成長に合わせて拡張できる設計
Qxスターターパッケージはスタートアップが抱える根本的な課題に応えます。その課題とは、18ヶ月でQMSが手狭になる事態をいかに避けるか、というものです。
答えはアーキテクチャにあります。Qxスターターはマスターコントロールのエンタープライズプラットフォームの軽量版ではなく、スタートアップのニーズに合わせた設定と価格で提供される「エンタープライズプラットフォームそのもの」です。OmniBudsが製造モジュールの追加・標準で含まれる5種類を超えるフォームへの拡張・臨床試験管理の追加を必要とする時、インフラはすでに整っています。
「実際に経験してきました」とゴールデン氏は語ります。「初期の頃は、文書管理とトレーニングのモジュール、それに2〜3種類のフォームからスタートしました。その後、規制申請・臨床ファイル・製造まで対象を広げ、スペック開発から流通・製造へと成長するにつれて、管理者としていくつかの機能を追加し、開発環境でテストして、後はスムーズに進めるだけでした。」
ゴールデン氏が今後を見据えると、Qxスターターに標準装備されている機能の活用が視野に入っています。是正処置・予防処置(CAPA)フォーム・逸脱管理・不適合品管理、これらはすべて、会社のプロセスが成熟して必要になったタイミングですぐに使える状態で設定済みです。
OmniBudsが8人から80人へ、市販前から市販後へ、単一製品からフルポートフォリオへとスケールアップしても、QMSがボトルネックになることはありません。むしろ、成長を加速するエンジンとなるでしょう。
これこそが、Qxスターターの約束が実現した姿です。リーンにスタートし、着実に成長し、システム移行を迫られる壁に決してぶつからない。
次なるステージへの基盤
他のスタートアップに向けた品質管理アプローチについて、ゴールデン氏のアドバイスはシンプルな一言に凝縮されます。「紙で始めるのはやめましょう。」
デジタル品質管理への先行投資、特にQxスターターのようなスタートアップ最適化パッケージを通じた投資は、すぐに効果を発揮し、時間とともにその恩恵は積み重なっていきます。印刷・ファイリング・署名の追跡に費やさずに済んだ時間は、製品開発への投資時間となります。パニックになりながら書類をかき集める数週間の監査準備は、システムの成熟度を示す30分間のデモンストレーションへと変わります。初日から正しく構築した基盤は、シリーズB・規制申請、そしてその先へと導く土台となるのです。
医療機器イノベーションの最前線で挑戦するOmniBudsのような企業にとって、それは単なる業務上の優位性にとどまりません。競争上の必須条件なのです。
初日から正しく品質の基盤を構築する準備はできていますか?
マスターコントロールのQxスターターパッケージと、ライフサイエンス系スタートアップが限界なく成長できる仕組みについて、詳しくはこちら。
¹ OmniBudsは現在FDAの承認・許可を受けていない試験的技術であり、臨床での使用は認められていません。